栄町のアンデルセンは“くつラボ”に
神戸・栄町と言う所に「アンデルセン」と看板を掲げるお店がありました。小さな店内を覗くと、そこには靴・靴・靴!それらはみ〜んな修理の順番を待つ靴たち。店主は黙々と機械の前で手を動かし、時おり愛おしそうに傷んだ靴たちを眺める・・・その誠実な人柄と、鍛え抜かれた職人技で隠れ名店と歌われた「アンデルセン」。
ところがです。あれは今年の7月くらいだったでしょうか。いそいそと傷んだ靴を持ってアンデルセンに出掛けたけいママに店主は告げたのです。「実はね、もう引退しますねん」。ガア〜ン!私の靴はどうなるの?栄町のアンデルセンは伝説に?衝撃が走る中、店主は続けました。「いや、また知り合いがね、この場所で靴修理屋やりますから。ひいきにしてやって下さい」。
いったいどんな知り合いや!店内改装ってどんなんや!と、秋の訪れと共に出かけてみると、あらまっ!なつかしや、靴の絵の看板はそのままではありませんか。でもアンデルセンの字は消えている。
そしてまるでカフェを思わせるような、おしゃれな木作りの外観。“こんにちは”と中に入ってみると、若者が一人黙々と、靴修理に励んでおりました。
そこで初めて気が付いた!わ、わたし客じゃない。修理する靴持ってない。それでもブログおばさんの事情を話すと、若者は仕事の手を止めて話を聞いてくれました。
「前オーナーから引き継いでやることが決まって、まずは名前をどうしようか迷ったんですよ。もちろん内装も。でも前オーナーを見習いつつ、僕自身の歴史を刻んで行こうと。ただ看板は字を消しただけで残しました。あれ、好きですから」。
店内は以前とは比べ物にならないほどさっぱりと整えられていました。白い壁にアンティークの家具。「お客さんによっては、前みたいな雑多な方が落ち着くわって人も(笑っ!)」 でも若きオーナーは、何より大事なモノを引き継ぎましたね。それはお客さんの靴を愛おしむ心です。「時間のかかる難しい修理も、ちゃんとこなしておられた前オーナーに恥じないような、丁寧な仕事をせねばと思っています」と静かに語った、いよ!若きオーナーの船出を心から祝いたい。
前オーナーから譲り受けたと言う、まさに年期の入った機械は、今も活躍中。きれいに手入れをされて、よい音を立てています。そして現オーナーがアメリカで見つけたという木彫りの靴職人のお人形が、お客様にほほ笑みます。
栄町のアンデルセンは、栄町の『くつラボ』に。こんな見事な引き継ぎも栄町にはアンデルセン?
靴修理 くつラボ
Tel&Fax 078-371-3007
〒650-0024 神戸市中央区海岸通4-4-12
10:00〜19:00
| 固定リンク
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- トラ焼きは変異種である(2022.01.01)
- イニエスタの焼ヴィーフン(2021.11.05)
- クチナシの花の命は短くて(2021.07.01)
- 良き年になりますように(2021.01.01)
- 本来、サクラは秋に咲く !?(2020.11.29)
「神戸でショッピング」カテゴリの記事
- 寒い夜のムーミンペンダント(2017.01.28)
- お風呂専用メガネをゲット!(2014.02.06)
- 栄町「tot-ziens」のサボテンたち(2012.07.03)
- 栄町の「TRISH-TRION」(2012.06.24)
- 元町一番街の水曜市(2012.06.18)
コメント