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2009年6月20日 (土)

写真集『風姿』が出来上がるまで

「二つの花」 蓮の撮影は、朝が早い。披田野さんは朝4時ごろには蓮池に到着し、目指すイメージを撮影して7時過ぎには機材を片付けて帰路につくと言う。それでも朝9時からの撮影にはちゃんとスタジオに現れて、多くのスタッフに的確な指示を与え、てきぱきと仕事をこなす。「その体力と気力には恐れ入ります」と、先日ギャラリーに来られたスタッフのお一人が、おっしゃっていました。プロの写真家として何十年も第一線で活躍してこられた方は、やはり並の人間とは違うのでしょうか。ほとんどの関係者は、披田野さんがそんな生活をしている事を知らなかったそうです。「あの忙しい披田野さんが、よくこんな素晴らしい作品を作る時間があったものだね」と感心することはあっても、いつ撮影しているのかは謎のまま。
 どうも仕事の撮影と創作活動は別物のようです。仕事ではアシスタントをはじめ照明さん、スタイリスト、デザイナーやクライアントなど、多様な人たちをリードしながらの共同作業。「朝露の輝き」作品作りの撮影は、すべてを一人で決断し一人でこなす。だからこそ蓮の一生を撮り続けた集大成の写真集『風姿』(WALL出版)のために、自分が納得するまで十数年もかけられたのでしょう。
 写真家に限らず小説家や画家も、創作をするときは孤独だ、とよく聞きます。自己の深い部分を見つめなければ、創作なんてできないので当然と言えば当然の話。披田野さんは「だってそばに誰かがいると、お腹は減っていないだろうか、疲れていないだろうか、といろいろ気になって集中できないでしょ」と、わざと軽くおっしゃる。いやあ、確かにその通りだと思いますが、実はもっともっと深い創作活動に取り組む姿勢があるのだと感じました。
 夜明け前の静寂の中、じっと自分を見つめ、息を止めて蓮と対話する。そして蓮の気高い一生を撮ることにより、途切れることなく循環する生命の素晴らしさを表現されたのです。写真集『風姿』を見て感動するのは、単に写真の美しさや表現技術の高さだけではありません。読者に自分自身の心を深く見つめなおすきっかけとなる強い力が込められている、私はそう思います。そっけなく感じるほどミニマルな佇まいの表紙。中を開くと、「立ち枯れる」ぎっしり詰まった美のエッセンス。その対比が鮮やかな装丁は、副田高行さんのアートディレクション。パッと見ではなく、奥深い蓮の生き様に真実の美を見出した作品シリーズの見せ方として、本当に見事です。写真集『風姿』
 『風姿』出版記念の展覧会は7月5日(日)まで。1点1点に深い思いがこもった、きわめて密度の濃いオリジナルプリントをご覧ください。

ギャラリーPAXREX
披田野昭治 写真集展「風姿」
6月6日(土)~7月5日(日)
11時~19時 水曜定休

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コメント

昨日行かせてもらいました。
一回りしてから、蓮の一生と聞いてなんかじわじわと気持ちに染み込んできました。

地味さも派手さも…すべてが縮図です、ほんとよかったです(^^)

投稿: giovanni | 2009年6月28日 (日) 13時54分

ああっ!シクロを拝見出来なくて残念でしたbearing
「風姿展」をそんな風に鑑賞してくださって
とても嬉しいですlovely
披田野さんが蓮に注がれた十数年にわたる
情熱とひたむきさも、
凛として美しく命の営みを繰り返す蓮も、
おっしゃるとおりじわじわ来ますよね。

次回はシクロ撮影、ブログ掲載をさせてくださいねcamera

投稿: けいママ→giovanniさんへ | 2009年6月28日 (日) 14時19分

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