7.「クアラルンプール」ー望郷
KLタワーなどの観光名所には目もくれず、ドラヴィダ様式の寺院などのインド施設を巡る私は少々変わり者かもしれない。
The temple of fine artsという、インドの文化センターでは質問攻めに遭った。これまでの約3週間、南インド各地を回って来たこと、ここクアラルンプールでも南インドをテーマに観光していることを伝えると感嘆の声、声、声。ノートパソコンで旅の写真を見せている間もしきりに「スゴいスゴい!」と言ってくれる。
私を取り囲んでいる人たちは皆、南インドからの移民。いや、その子孫だろうか。鉄道建設の労働者として彼らが海を渡ってきて、すでに1世紀以上が経つのだから。
カフェスペースもあり、出される料理はメドゥー・ワダといった南インドのものに混じり、マレーシアならではのメニューもある。食事の後、「ぜひ」と言われ、ヴァラタナティアム(南インド舞踊)やバンドなどの発表会に参加させてもらった。子供たちの伸び伸びとした踊りや演奏はなんとも可愛らしく、隣に座ったお婆ちゃんと顔を見合わせては、何度も頷きながら鑑賞した。半日ほどの滞在の後、別れ際には「神のご加護を」と皆が手を合わせてくれた。
距離と時間によって必然的に変化してきた部分と、変化していない部分と。インドの各都市には私を大切に出迎え、見送ってくれる人たちがいました。神戸の友人たちの計らいで。なんのツテもなかったクアラルンプールでも変わらない気持ちをもらえたと報告したら、彼らは喜ぶだろうか、あるいは当たり前だと言うだろうか。旅を終えようとしているこの時になっても理解していないことが多い自分が、ちょっと可笑しかった。
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コメント
施設の天井も人々の服も、なんと食事まで色とりどりですね!
赤いお菓子みたいなの、なんですか?
現地の人たちとの触れ合い、楽しそうで、しょうさんが羨ましいで〜す。
投稿: mari | 2009年2月22日 (日) 00時48分
>mariさん
赤いお菓子はマレーシアのゼリーだそうです。
「料理の名前クイズ」みたいなことをしたのですが、
このデザートについては
「わからない」と言ったら、
「そりゃそうだ!インドにはないから」
と大爆笑されました
投稿: しょう | 2009年2月22日 (日) 11時50分