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2008年10月26日 (日)

顔のない人々

「甘美と恐怖」  顔がないって、どういうことなの? 安部公房に「他人の顔」という名作があったけれど。と、今日はギャラリー店主のひろパパが『Decay』を語ります。

 いまPAXREXで開催中の『Decay -壊れてゆく- 』展の作品では、現代に生きるさまざまな人物像が捉えられています。しかし、それらの人物には顔がない。まるで魂がそのまま服を着て街に現れたように見えます。
 ファッショナブルなセレブっぽいカップル「甘美と恐怖」や、カラフルなコスチュームを身にまとった女性たち「笑いの中に氷を見た」。「笑いの中に氷を見た」 みんなゆらゆらと漂い、あるいは行き先を決めかねているようにボンヤリ佇む。それは自分自身に、また人間関係に自信が持てなくなって漠然とした不安や不満を抱えながら今を生きている、私たち日本人のリアルな姿なのでしょうか。それも特定の誰かではなく、普通に生きる我々みんなが心のどこかで思い当たるフシのある・・・。
 神戸に7年間在住し、愛する日本の社会を見続けてきたドイツ人写真家モルテザ・アリアナさんが現代を表現する、まるで真昼の夢のような世界。サラリーマンもいます「最後の人類」。もしかしたら仕事で悩んでいるのかもしれない。「最後の人類」 いくら自分で努力しても、何が起こるかわからない世の中ですからね。若者もいます。楽しく一日が過ぎればいいと思いながらも、ふと将来を気にする瞬間があるかもしれない。
 人間は顔が違うように個性も違う。生き方も考え方も違う、それぞれ唯一無比の存在です。だから人間って素晴らしい。でもその存在そのものが揺らいできている、とモルテザさんは感じたのでしょうか。だから顔が見えない。私たちに「しっかり自分の顔=意思を持ちなさい」と激励してくれているようですね。
 
ギャラリーPAXREX
Morteza Ariana   「Decay-壊れてゆく」 
10月4日(土)〜11月9日(日)  11時〜19時(水曜定休)

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展覧会情報[2008]」カテゴリの記事

コメント

モルテザさんの作品は、都会的でカッコいいという第一印象でしたが、ずっと見ていると色んなメッセージが含まれていて考えさせられますね。かといってイメージも決して重くはないのですが、一見軽快な動きの中に現代の不安や苦悩が隠されている感じがします。ウ〜ン、モルテザさん、なかなか奥深いですね!

投稿: mari | 2008年10月31日 (金) 02時13分

しっかり見ていただいて、ありがとうございます。
おっしゃる通りで、重いテーマをそのまま重厚に表現すると見る方が辛くなる。そんな作品が結構多いのですが、それでは表現になっていないと私は思います。
モルテザさんの場合は自分の中でテーマを十分噛み砕いて、「明るくポップな」と言ってもいいようなスタイルで作品にしています。だからこそ、逆に不安や苦悩などいろんな思いが強く伝わってくる。
伝える、って難しいことですが、これは成功例のひとつだと言えるでしょうね。

投稿: ひろパパ→mariさんへ | 2008年10月31日 (金) 11時56分

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