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2008年6月26日 (木)

光と影とアーティスト

マティス美術館(Musee Matisse) 光を求めて南仏に移り住んだルノアール、シャガール、マティス・・・。ニースはそんな画家たちの作品に出会える町です。
 17世紀に建てられたマティス美術館の、ひときわ目を引くサーモンピンクの外観は、いかにも南仏にふさわしい佇まい。“光の魔術師”と呼ばれた天才、マティスの300点近い作品が出迎えてくれます。幼い子供の視線でみつめることが大切、と語った偉大なアーティストの軌跡をたどることの楽しさ。コート・ダジュール沿いに広がる町、ニース
 高台から、コート・ダジュール沿いに広がるこの町を見下ろす時、画家でなくても思う。「一度はこんな所で暮らしてみたい」と。果てしなく続く空から紺碧の海に降り注ぐ、いさぎよいとも思える日差しをストレートに浴びて。
 最近とてもステキなイタリア語を知りました。“dare alla luce”出産する事を、イタリアでは“光を与える”と表現するようです。一度はこんな所で暮らしてみたい・・・お腹の中で育まれた命は、闇を通り抜け光を浴びる。生まれたての赤ちゃんは、まだ目は見えないというけれど、何だか眩しくてたまらないという表情をしますよね?
 人は光と影の中で時を刻んで行く。その不思議に魅せられて絵筆を取り、計り知れない情熱と美への探求を胸に、永遠のテーマに向き合った画家達。やがて時代は写真という、表現法を生み出しました。シャガール美術館もあります今、この時代にカラバッジョや、フェルメールが生きていれば、彼らはその才能をどんなカタチで世に問うたでしょうか? 凡人の私にはとうてい見えない、光と影が織り成す、時に怪しげな、時に神々しいまでに崇高な世界。影があるからこそ光があるのだと、時間に追われる日常の中で、アーティストたちは語りかけてくれます。
 森雅美さんが神戸にお出でになった時、ギャラリーでお会いしたら、ホテルからこちらに来る途中、旧居留地の建物の壁に、朝の光がキラキラ光って綺麗でしたと・・・。ニースでも神戸でも光と影は・・・カメラはお持ちになっていませんでしたが、アーティストの目は常に、どんな時もアートなシーンを、その記憶に刻んでいるんだと気付かされました。マティスの言葉のように「今まで見たバラを忘れて、バラを描く」。そんな気持ちがあれば見えてくるものはたくさん。
 たとえ遠くに旅をしなくても、あなたの居るすぐそばで光と影は揺れています。怪しげに、時に何かを訴えるかのように。

PAXREX  森雅美写真展「翳」Shade
6月29日(日)まで 11時~19時(水曜定休)

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コメント

ニースですか。
光あふれる街、というイメージはありますね。
行ったことはないですけど
いつの日か・・・。

投稿: Vn | 2008年6月27日 (金) 13時51分

ニースでは、道を歩いている御夫人
真っ黒に日焼けしてはります。
誰も日傘なんてさして、歩いていませんし・・・
美術館がたくさんありますよ。
是非、行ってみて下さいね

投稿: けいママ→Vnさんへ | 2008年6月27日 (金) 21時31分

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