影に色があるの?森雅美さん
明日から森雅美さんの写真展「翳 Shade」が始まります。壁や地面に落ちた樹々の影を撮影した作品25点を揃えた、ユニークで魅惑的な展覧会。『翳』はカゲやカゲリと読むようです。谷崎潤一郎の『陰翳礼賛』のあの字ですが、読めても書けません、私には。ハイ。
届いた作品を見て驚きました。どれも微妙な色がついているじゃないですか。淡いブルーやグリーン、紫や茶色、オレンジ‥‥。え、影って黒やグレーじゃなかったの? さっそく森さんに電話して尋ねてみると、「人間の目では黒やグレーのモノトーンですが、レンズを通すと色が写るんです」だと。もちろん、これらの作品はカラーフィルムで撮られています。人間の目でも夕方の光は、真昼に比べるとオレンジ色でしょ。たとえ影といえども、写真に撮るともっと色濃く写っているんですって。ほかにも空の青、木の葉の緑など周りの状況を反映して、さまざまな色が現れるという。
不思議ですねぇ。もしかしたら「雲は白」「海は青」と同じように「影は黒」という固定観念が、そう見せているのかも知れません。
ふだん私たちは注目して影を見ることはないでしょう。でも素直(?)な子供時代には、影は揺れたり、伸びたり、追いかけると逃げたり‥‥ヘンでオモシロイ遊び相手でもありました。「影踏み」なんて遊びもありましたっけ。いま森さんの作品「翳 Shade」を改めて見ていると、そんな幼い日の感動がよみがえる。そのころ、影に色を見ていたのだろうか。残念ながら憶えてないです。
いつも主役は光で、影は脇役。影は決して出しゃばらない。あるのかないのか、その存在すら意識にのぼらないことも多い。でも、この展覧会では主役は影です、きっぱりと。存在感がうすいと思われていたバイプレイヤーが、一躍アカデミー賞を獲得したようなもの。(ようわからん喩えどすなぁ) その晴れがましい美しさ、個性的な魅力を、ぜひギャラリーPAXREXでご覧ください。人生だって光ばかりじゃ面白さがない。影があってこそ、光はより輝くのではないのでしょうか、なんちゃって。(古くさ〜
)
森 雅美 写真展「 翳 Shade 」
5月24日(土)~6月29日(日)
11:00~19:00 ※水曜定休
ギャラリーPAXREX
Tel. 078-392-8909
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コメント
「翳展」ついに明日からですね!
「光があれば必ずそこに陰がある。白か黒だけでなく、グレーで生きることも時には必要だ。」と父によく言われます。最近は言わなくなりましたが・・・(あきらめた?)
そんな私だって、光の織りなす翳りの魅力には触れたい!
森雅美さんの写真展楽しみにしています。
TANTOTEMPOでも宣伝していますよ。
投稿: mari | 2008年5月23日 (金) 12時06分
いま明日開催のために準備の真っ最中ですが、見れば見るほど不思議な魅力が湧いてきます。部屋に掛けると、マドが一つ増えたような爽やかな気分になりそう。
TANTOTEMPOさんでの宣伝、ありがとうございます。
投稿: ひろパパ→mariさんへ | 2008年5月23日 (金) 15時01分