沢木耕太郎さんと"奈良”
「講演会なんて苦手だし、でも長年の友人からの頼みだったのと、場所が東大寺なんて、二度とない機会かと思い引き受けました」。
奈良・東大寺は2010年、平城遷都1300年を迎えるそう。区切りの年を前に開かれた「沢木耕太郎氏」の講演会は大盛況でした。『深夜特急』を読まれました? あるいは映像化された『深夜特急』をご覧になりました? その後に続く著者の活躍も、もちろん素晴らしいのですが、私を含めた団塊世代に“生き方”に関わる程の衝撃を与え、そして旅立つ若者のバイブルとなったノンフィックション。その著者を目の前に出来たわけですから。
沢木耕太郎さんは、紛れもなく“沢木耕太郎”でした!『深夜特急』に掲載されていた写真と、ほとんど同じかと思うほど変わらぬ容姿、“え〜と”を連発するぼくとつとした、飾り気のない、そして誠意溢れる語り口。作品を通じてしか、知り得ない人物。けれど不思議ですね。とてもとても「沢木耕太郎」と言う人物を身近に感じる事が出来たこの日。家の本棚に並ぶ、彼の何冊かの著書を思い浮かべ、講演に聞き入りながら思いました。「よかった、この人を知っていて。沢木耕太郎のファンである自分でよかった」。
そして久しぶりに訪れた奈良の町。散り行く桜の最後を楽しむかのようなこの日、あちこちにその下で共に穏やかな午後を過ごす“パーティー”の光景がありました。そう、講演のテーマは「ソロとパーティー」でした。仕事で、家庭で、人生の様々な局面に関わる、生き方そのものに置き換えられる永遠のテーマ。ソロである事、パーティーである事。それは桜の木の下の、その光景にさえ繰り広げられるテーマなのかもしれません。今日は一人で居たい? それとも仲間と?
「ギャラリー店主としてのひろパパは ソロだよね。広告マンとしてパーティーでやっていた時から、ひょっとしたら憧れていたのかな、ソロに」。「かもね。少なくともたとえパーティーに属していても、ソロっぽい人やから。沢木耕太郎さんも、それが大事って言ってはったよね? ソロとしても生きて行ける事が」。しょうさんのカメラに時折、鹿たちがヌッと顔を覗かせる・・・。よく見ればいろんなヤツが居るよね。ポツンと離れて、観光客に見向きもしない。あるいは仲間を押しのけてエサ、エサ。ひょっとしたらこの先、奈良に来るたび「沢木耕太郎さん」を思い浮かべるかも知れない。何かの思いが、何かの光景と重なり合うってよくある事だから。
「SERENITY」展を控えて、いい休暇となったこの日。そうか、鷹さんもパーティーとして広告写真を撮り、ソロとして「和花」や、「SERENITY」を撮っていらっしゃる。鷹さんに始めてお会いした時も思いましたっけ。この方のファンでいてよかった、と。
さてさて「SERENITY」には、人っ子一人登場しない! その光景はある意味、快感かもしれませんよ。
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コメント
「深夜特急」、良いですよね!
私も大好きな作品です。
読めば旅に出たくなる
投稿: Vn | 2008年4月17日 (木) 17時32分
うちの本棚に、大切に保管してあるこの作品。
けいママも、また読んでみたくなりました。
昨日の朝日新聞に、この講演会の記事と
沢木耕太郎さんの写真が掲載されていたんですが、
ホントに、まだまだお若くてビックリ
投稿: けいママ→Vnさんへ | 2008年4月17日 (木) 22時46分