森雅美さんとアリナーリ美術館
フィレンツェ駅にほど近く、サンタ・マリア・ノヴェッラ教会前の広場をはさんだ向かいに国立アリナーリ写真美術館MUSEO NAZIONALE ALINARI DELLA FOTOGRAFIAがあります。1852年に創設されたフラテッリ・アリナーリ財団が母体になった世界最古の写真美術館です。一昨年の夏、ここに森雅美さんのFLORAシリーズがコレクションされたという。(その頃はまだアリナーリ通にあったはず)
森さんの作品を販売しているギャラリーとしては、ぜひ行かねばなるまい。 というわけで昨秋のフィレンツェ滞在時に行ってまいりました。
美術館は15世紀に建てられた建物の一角にあります。ロッビア工房作のメダリオンで飾られた美しい回廊があり、サンティッシマ・アヌンティアータに匹敵する典型的なルネッサンス建築でしょう。前のサンタ・マリア・ノヴェッラ広場は大々的に工事中で、ざわざわしていましたが・・・。 館内はまず現代作家の企画展のスペース。その奥に収蔵作品から選んで展示するスペースがある。膨大なコレクションの中からごくごく一部を展示しているだけですが、ロバート・キャパの「崩れ落ちる兵士」も初めてオリジナルプリントで見ることができてラッキーでした。展示方法もプリントあり、映写あり、とさまざまな工夫が凝らしてあって飽きない。そうそう、床面を歩きながら見ていく、というのもありましたっけ。
上に乗って割れないかとヒヤヒヤしながら歩きましたね。PAXREXではマネできません。
歴史的なカメラやアルバムを展示するスペースには、100年以上前の大きな木製のカメラも多数。日の丸が入った日露戦争時の飾り額装もありました。まあ、よくも集めたり! あまり好みではないのですが、それぞれの時代のほとばしる情熱が感じられ、なかなか面白い。日本語では美術館と博物館は別の言い方をしますが、英語のミュージアムやイタリア語のMUSEOは区別しない。 だから、これは博物館部門、のようなもの。なぜかと聞かれても、残念ながら答える知識はありませぬ。
またアリナーリは写真集やカレンダーの出版などにも力を入れている。ミュージアムショップには、これらオリジナルグッズが充実していて、オシャレなボールペンやルーペなど、おみやげに手頃なものも揃っています。
この由緒ある美術館に森さんの作品が永久保存されているのは、うれしいことです。フィレンツェまで行く時間が取れない方は、いまギャラリーPAXREXで幻想的な花の写真作品をご覧いただけます。「PAXREX STYLE」展、3月2日まで。
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コメント
カルティエ・ブレッソンもあるんでしょ? オリジナルプリントで観る“グレー”は味わい深かったことでしょう
投稿: しょう | 2008年2月15日 (金) 01時04分
アンリ・カルティエ=ブレッソンの「パリ サン・ラザール駅」が展示されていました。あの水溜りをヒョイと跳んでいる有名な写真です。
いいものです。
オリジナルプリントは、やはり印刷物とは深みが違いました。
ところで、大阪芸大がブレッソンの素晴らしいコレクションを所蔵していること、ご存知ですか?
投稿: ひろパパ→しょうさんへ | 2008年2月15日 (金) 12時09分
いいですね、カルティエ・ブレッソンぜひ見たいです。
「決定的瞬間」というだけに一度見ただけで心に焼き付けられるような、印象的な作品が多いですね。
「パリ サン・ラザール駅」と「ラークィラ・デリ・アブルッツィ」「シテ島」などが好きです!
日本にもこんな写真美術館がいつかできるといいな〜
森雅美さんの作品は明るく優しい雰囲気が好きです。
永久保存なんてすごいナ・・・
投稿: まり | 2008年2月15日 (金) 14時47分
写真には“今”しか無いんですよね。スッと切り取られた瞬間の鮮やかな事!
それにしても日本人観光客は珍しいんでしょう、そう言う視線で見られました(笑!)
世界最古と言われるだけあって、そのコレクションは膨大、そして今も世界中から、いい作品がどんどんと集まって来るんですね。
はい、我らが誇る森雅美氏、凄いです!
投稿: けいママ→まりさんへ | 2008年2月15日 (金) 17時58分