2007年12月23日 (日)

まもなくお別れ、天使たち

Soedada  さあさ、みんな「20人の天使」展は後三日、そろそろ飛び立つ準備をすべえ。天使は飛んでこそ値打ちありいのバットマン(SOEDADAエンゼル) ええっ! 私は箱ン中に入ってるんだけど、どうすりゃいいのさ!(TOMARIエンゼル) そんなの、何とかなるさ、Don't think too much!(YASUOエンゼル)。Yasuo そんなに慌てなくても,ゆっくり行こうぜ、イエイ!そうよねえ~ここには青空背負った(FUJIIエンゼル)も居るし、美しいハス池もあるし(OKUWAKIエンゼル)。 も一つのハス池には白鳥も居て(SHIBAGAKIエンゼル)、そりゃあ静かで落ち着いて、居心地いいわ。そうそう、幻想的なお花の世界(SUMACOエンゼル)だって、そりゃあステキ、うっとりしちゃう!Somaco
 おいおい君達、美しいだけが天使じゃないさ。メッセンジャーとしての使命を忘れちゃいかんね・・・。ああ、喜びも悲しみも紙一重ってやつ?(FUJIエンゼル)。 あなたも大変ねえ、あっち向いて、こっち向いて・・・。私もあっち向いて目をぱちくり、こっち向いて閉じて、ネコ天使よん! ネコだってこんなステキな天使になるの(KUNIOエンゼル) イヌ天ありいの、イカ天ありいの。
 みんな平和が一番、PAXREXって平和の王様って意味でしょ? 私のメッセージもPeace, Pure, Prayerよ。(PECHUエンゼル) Nagai そうそう、ただ今地球は戦争なんかやってる場合じゃないって! 自然と人工物がうまく共存して行かなきゃ(NAGAIエンゼル)。確かに、せっかく飛行機なんてモノが出来て、人々の夢がかなったのに・・・。フィレンツェから神戸までは遠いねえ(NATSUエンゼル)・・・。私、純粋ニッポン生まれの和天使(TAKAエンゼル)ですけど、いつまでもこの地で存在出来ますように。そやっ! みんなで観音経を上げましょうて。私の羽根に書いてありまっせ(IMAOKAエンゼル)。
 いやあ、それはちょっと私たちには難しいかも・・・。ああ、あなた達は超メジャーな大天使ガブリエル様(MORIエンゼル、ITTETSUエンゼル)、西洋絵画に欠かせない。Walter_2 そこ行くと私らビザンティン組は地味ですなあ~(AKIRAエンゼル、WALTERエンゼル)。まあ、PAXREXではビザンティン展もやってもろて、ファンも増えてるけど。そうそう廃墟の中に美しき天使あり(YOSHIMARUエンゼル)。地味も派手も、そんなのそんなのカンケーねえ!みんないっしょに天国へ(NAKAYOSHIエンゼル)。
 飛び立つ日を間近に控え、深夜のギャラリーPAXREXにてワイワイガヤガヤ、天使たちのつぶやき。別れの日は近い、すぐそこです。
 「20人の天使」展、ギャラリーPAXREXにて12月25日まで。

| | コメント (6) | トラックバック (0)

2007年11月22日 (木)

天使さまから、メッセージ在り

Okyo_4

 11月22日ギャラリーPAXREXでは「20人の天使」展がスタートし、夕方からのレセプション・パーティーには、作家さん始めたくさんの関係者や、PAXREXゆかりの面々が集ってくれました。「やれやれ、ホンマにいろんな人たちのおかげで・・・」。皆さんがお帰りになった後、ひっそりとした空間で感慨にふけるギャラリー店主・・・と、そこへ
店主「あっ! 天使さまではありませんか! 何と今頃! 真っ先にPAXREX20人の天使たちに会って頂こうと思っておりましたのに」
天使さま「いやあまりにもたくさんの人で・・・。ただ昨日の夜、ここの天使たちとはもうそれぞれ対面を済ませておるからして」
店主「あっ、私が引きあげた後、お出でになってたんですね? そうか、天使さまにはSECOMなんて関係ありませんでしたね、アッハハ」
Cat天使さま「??? SECOMとは何のこっちゃ?」
店主「いえ、べつに。それより天使さま、いかがでございましょう? 「天使展開催」のお告げを聞いてから数ヶ月、同じく制作依頼のお告げを聞いた作家たちと、ここまでやってまいりましたが?」
天使さま「おっほん、まずはそなたも、作家たちも考えずにはおれんかったはず、“天使”とは?と。最近はなんだかどうもあちこちせわしない。人々はせかせかしておるし、何かと言えば忙しいと。そんななか私らのことをちょっと考えてみなはれと、少なくともその意図は達せられた、してやったり! イエイ♪」
店主「ふ〜む、天使さまもなかなか、ノリがよろしいですなあ」
Pechu_2天使さま「いや、この20人の天使たちには負けておる。真っ黒なバットマン天使がおれば、観音経を背負った天使、猫天使やら、ビザンティン天使やら・・・。んまあ〜お見事!」
店主「うわあっ! 有り難うございます、天使さま! イエイ♪」
天使さま「これこれ、まだ展覧会は始まったばかり。師走の時期に、こんな見つけにくい小さなギャラリーに人々が少しでもたくさん来てくださるように、しっかりお祈りを」
店主「ははあ! PAXREXの名にかけて」
 人工衛星が、飛行機が、そしてケータイ電波が飛び交う空に、天使さまのお姿は消えました。そしてギャラリーPAXREXの20人の天使たちは、ひっそりとした地下空間で眠りにつきます。背中に背負ったものは、自由に行き交うことの出来る羽根と、そしてメッセンジャーとしての使命。
 あなたに伝えたいことがあります。この忙しい時期だからこそ。

Party レセプションにお越しいただいたたくさんの方々、本当に有り難うございました。そして天使さまからのメッセージを是非また、みなさんにお伝え下さいね。 PAXREX「20人の天使展」11月22日(木)〜12月25日(火)11時〜19時(水曜定休)

| | コメント (10) | トラックバック (0)

2007年11月21日 (水)

天使たちの到来

Sora_5 心に残っている、遠い記憶がある。冬の夜更け、なかなか寝付けなくて窓辺に立った。その日がどんな日だったのかはよく覚えていない。ただ研ぎすまされたような感覚が、私の中にあった。空の向こうの、ほんの小さな物音さえも決して聞き逃すことはないと思えるほどに。それは身も凍るほどの、冬の冷たい空気のせいだったのだろうか?
  突き刺すようにまたたく無数の星、ほんのりと辺りを照らす月のシルエット。そんな中を白い羽根のようなものがふわり、ふわりとまるで弧を描くように飛んで行くのが見えた。Katsukosan2_2 今日、ここで私の手に「天使」が触れたとき、この言葉に出会ったとき「あっ」と心の中で声を上げそうになった。 「天使は存在するのか・・・」見たことがないと、私は言うだろうか? そんなもの信じないと、私は言うだろうか? 
 少なくとも今、そしてこれからも、その存在を否定する自分になりたくはないと思う。この空を自由に飛んで、神のメッセージを伝えるという、人を守ってくれるという。遠い記憶に、出会ったとは言い切れないけれど・・・。今度は空を飛んではいない。ただ私の背後に感じる、あの日とビミョーに似た感覚。Ready2_3 今、私は迷っている。振り返ろうか? やめようか? そのやさしい眼差しが、私をバッチリ捉えるような気が、しなくもない。 「20人の天使」展、明日22日からスタート。栄町の小さなギャラリーで、あなたを待っている天使がいます。Tenshi2_5

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2007年11月 9日 (金)

藤井保氏の「ESUMI」

「ESUMI」  97年5月、スイス・チューリッヒのギャラリーから一通のFAXが、藤井さんの事務所に届きました。それは氏の撮影した写真集「ESUMI」に対する讃辞と、展覧会開催などに関するコンタクト依頼でした。
 女優の江角マキコさんのヌードも入った写真集・・・。日本の新聞や雑誌の中には、その局面だけを取り上げた記事も多くあっただけに、「ESUMI」 この海の向こうから届いた「アート作品としての高い評価」は、 藤井さんにとって大変に嬉しい、心に響くものだったようです。
そして10年の歳月を経て今なお、この写真集「ESUMI」の持つ芸術性は、海外はもとより日本国内でも高く認識されて輝きを放っています。
 藤井さんがこの一連の写真に込めた想いと狙いが、「藤井保の仕事と周辺」の一文に紹介されています。テーマは”風景と人との在り方”。それを生まれては消えるという自然界の連鎖の中で見ようとしたもので、「ESUMI」 かつては人も風景も共に美しく在ったのではないか、という氏のメッセージが込められています。海、空、山という3つのロケーションでの撮影は、海に流れ着いた女、天と交信する女、山に帰る女、立ち上がる女というストーリー性豊かなもの。 またスタジオ内では、体の部分部分が、闇の中に浮かび上がる標本のように撮影されています。
 藤井さんと江角マキコさんとの出会いは、映画「幻の光」から。 共に島根県出身ということで、自然に写真集を作ろうという流れになったようです。「ESUMI」 「相手のいいところを探して撮ろうとすると、相手はもっといいところを見せてくれる。」という藤井さん。氏にかかれば欠点も長所も実は紙一重、それは風景でも同じで、雨が降っていやだなと思うのではなくて、雨の景色もいいよねって思える自由さが大切だと・・・。
 この柔軟性と優しい視線! また一方で妥協を許さない厳しさと、今に留まらない先を見据えた眼差し。「ESUMI」には深く、静かな情熱が滔々と波打っています。西日本で唯一、藤井保さんの作品を扱うギャラリーPAXREX、現在開催中の「藤井保の世界 Ⅱ」展では、最新作「カムイミンタラ」と共に、写真集「ESUMI」のオリジナルプリントを数多くご覧いただけます。11月18日(日)まで。(水曜定休)

| | コメント (4) | トラックバック (0)

2007年10月 4日 (木)

イタリア生まれの「FIORI」たち

ヴェネツィア・ビエンナーレ(La Biennale di Venezia)に出品された・・・ エキゾチックではあるけれど、どこか懐かしい感じのする、この場所はいったい? はい、水の都ヴェネツィアですよ。この町で開かれるビエンナーレには、時代の最先端をいくアートを求めて、世界中からたくさんの人たちが訪れます。2003年6月15日から11月2日まで、Spazio Proietto会場の中庭に出品された丸山貴央氏の「FIORI」たち。あちらこちらに散らばる会場の、いわば通り道ともなった場所に掲げられた、丸山貴央氏の「FIORI」たちその斬新な展示が、まず人々の目を奪いました。そして まるで見る者に語りかけるかのような、我れ先に目を奪おうとするかのような「FIORI」たちの鮮やかな主張! 
 たとえばこちら"現像液の調合に秘密あり”のブルーをたっぷり含んだグリーンの「FIORI」。丸山さんは1998年から、制作拠点をミラノに置き、フィガロジャポンなどのファッション誌でも活躍。どうりでいかにも都会的なセンスを感じさせてくれるモダンな立ち姿。現像液の調合に秘密があるそうイタリアの中でも、とりわけオシャレな町として知られるミラノ、この「FIORI」たちも、華やかなスポットライトをいっぱいに浴びて、舞台の上でウオーキングする超一流のスーパーモデルのようだと思いません?
 花の一番美しい時を撮ってあげるのが僕の使命だと思う、という丸山氏。それはまさに、咲き始める瞬間であったり、大輪のあでやかさを見せる瞬間であったり。東洋人としての感性が、このスタイリッシュな町で追い求めた美の世界。都会的なセンスを感じさせてくれますそれはさまざまな状況やシーンを糧としながら、見事に開花しました。
 イタリア生まれ、イタリア育ちの彼女たちは、いま神戸の小さなギャラリーPAXREXで、お披露目されています。時折生まれ故郷のミラノ、ナビリオ地区のアパルタメントの窓辺を懐かしむかのように、少しメランコリーな表情を見せる彼女たちに、ぜひ会いにきてやってくださいな。ミラノ、ナビリオ地区生まれの彼女だちに会いにきてください




丸山貴央「FIORI」展
10月14日(日)まで。
ギャラリーPAXREXにて。

| | コメント (3) | トラックバック (0)

2007年9月13日 (木)

丸山貴央“FIORI”展、開催です

 「FIORI」ってイタリア語で“花々”を意味します。イタリア生まれのアートな花たちがPAXREXに初お目見えです。フォトグラファー丸山貴央氏の制作拠点は北イタリア・ミラノ。ナビリオ地区に位置するスタジオに、朝の光がさし込む。その自然光で撮影された花たちの、何とものびやかな事! 一日の始まりに、フワァ~と伸びをするかのように。快活で、明朗で、そしてもちろん、とてつもなく美しい。
Fiori  お手元に届いた、案内状に選ばれた作品が、イタリアから東京での額装を経てPAXREXに到着です。長旅ご苦労さま・・・。140cm×100cmという巨大サイズ! 小柄なけいママは圧倒されそうです。丸山さんご自身が、手元で大事に育てたと言う、対のアマリリスは時を同じくして咲いた双子だったんですって。「へえ! こんなに大きい作品だったんですか」。ハガキを持ってご来店くださったお客様は、感嘆の声を上げてくださるかしらん? と早くも楽しみです。Fiori_edited1
 昨年のオープン以来、写真とは思えないアートフルで個性的な花の展覧会を、何度かお届けしてきたPAXREX。どれも“ただの綺麗な花の写真ではない”・・・ と感じていただけたらお慰み。たとえば今回も、丸山さんが撮った花たちの、ブルーをいっぱいに含んだグリーン。赤みを帯びたオレンジ。はたまたピンクとも紫とも言えぬ微妙なトーン。加えて自然のなせる業を、見事に切り取った完璧なシルエットが、見る者を引きつけます。Fiori_5 何故こんなに華やかで、妖艶なんだろ? 水が違う、空気が違う、光が違う。そんな異国の環境が、フォトグラファー丸山貴央の持つ独自のセンスに、鮮やかに絡まりあい、この作品を生み出しました。
 そこにはスタイリッシュで、モダンなミラノという町の匂いがします。「日本に送るために、巨大な梱包材料を抱えて地下鉄に乗ったら、みんな一斉に怪訝な顔をして注目するんですよ」。くったくのない少年のような笑顔。第一線で活躍するフォトグラファーにお会いしていつも思う事、その気負いの無さと、繊細な神経、そして強靭な体力と行動力!
Fiori_3  今回、皆さまをお迎えする会場のポスターはこちらのマンゴー。案内状のアマリリスとは違う「FIORI」を、あえてセレクトしました。この看板を目印にお越しくださいね。
Takao Maruyama 「FIORI」展
  ~ミラノの光に導かれて~   
9月14日(金)~10月14日(日)
  11時~19時 水曜定休
ギャラリーPAXREXにて。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2007年8月21日 (火)

藤井保さんのお仕事

 みなさま暑い中、お仕事ごくろうさまです。炎天下の戸外に居なければならない方、くれぐれもお気をつけくださいね。このうだるような日々も後もう少し・・・。で、台風の季節到来となるのでしょうか?
1  さて8月18日からスタートした「藤井保の世界」展では、台風の時にカメラ担いで出掛けていった藤井さんの、ド迫力!見事な“波”の写真をご覧いただけます。テトラポットにドッカ〜ンと寄せては返す荒々しい波を撮影。 刻一刻と変化する自然の姿の、どこをどんな風にシャッターに納めるのか。そこには現在日本でトップの広告写真家と言われる藤井保氏の研ぎ澄まされた感性と、長年培った最高の技術が傑出されています。1_2 そして大自然を前にして「僕は写真を撮らせて貰っている」と、おっしゃる謙虚な気持ち。それこそがトップを走り続ける藤井さんの藤井さんである所以。昨年の個展では、2度、3度とこの作品を見るために足を運んでくださったお客さまも。
 一方こちらはピンホールカメラで捉えた、噴煙上がる阿蘇山。 カメラの性能が飛躍的にアップした昨今、彼はその進歩に頑なに背を向けているわけではありません。Mtaso ただ、出来上がるまで、そこに自分が写し取ったモノがどんな風に浮かび上がるのかわからない、何もかもを一人でこなす行程の中で、五感全てを集中させて創り出す、その作業。そこに写真家としての原点を見続けて、そして大いに楽しんでいらっしゃるのだと。
 ただ美しいだけの写真は巷に溢れています。心を揺さぶる、アートとして圧倒的存在感を示す写真とは何か。その問いかけに答えてくれる作品の数々。西日本で唯一、藤井保のオリジナルプリントを扱うギャラリーPAXREXにてご覧いただけます。
Sea5_2  また10年前に大変な話題を呼んだ「ESUMI」シリーズ。 個性溢れる、美しき女優・江角マキコさんを、藤井さんが撮影。今までは一部お買い上げいただけなかった作品もありましたが、この度めでたく解禁。あなたのお手元にこの名作をコレクションすることも可能。そうそう、海を渡ってベルギーに嫁いだ「ESUMI」作品もありましたっけ。
PAXREX「藤井保の世界」展 ~9月10日(月)まで。

| | コメント (5) | トラックバック (0)

2007年7月23日 (月)

オーシャンブルー“青い花たち”

Photo_495  花と一緒に思い出す光景はありますか? 小さい頃ちょっと早起きした夏の朝、庭先に見つけた朝顔、太陽が照りつけるまでのつかの間のひととき。いま、バス停までの道をさわやかな清涼感で送ってくれるオーシャンブルー(琉球朝顔)・・・。幸せの青い鳥と同じく、青い花には気持ちを穏やかにしてくれる魔法の力があるみたい。もしも今日、ちょっとステキな事に出会ったら、たぶん私はこの花と共にその出来事を記憶するに違いない。
04cosmos_a3_2    そう言えば、生のお花ではないけれど森雅美氏の「FLORA」。ギャラリーに届いた“ブルーの花”を初めて見た日はちょっとステキだった。 じっと目を凝らして小さな英語の花の名前を読んでみると「な〜んだ、コスモスか、ダリアかあ〜。」ブルーのコスモス、ブルーのダリア、ブルーで在ることの意味はあるかしらん?
それは小気味いい裏切り? 私の頭ン中にあるコスモスは、一面野原に咲き乱れて、風に揺れている。不思議といつも一輪ではない。01cosmos_a2_2 なのになのに、どう? 森雅美氏の捉えたあなたは、たった一輪の・・・。その気品、その気高さ。あの長く延びた茎や、モシャモシャした葉もそこには無くて、可憐なピンクでは無く、やさしい紫でもない。今度、花屋の店先で、あるいは野原であなたを見かけたら少なくともそこに、“ブルー”を重ねてしまいそうな気がする。
 ダリアだって・・・鮮やかなタップを踏むフラメンコダンサーが黒い髪に飾る、それは赤いダリア、ブルーで在るはずがない。04dahlia_a4_1 でも情熱的な花には、華やかさ故のメランコリーや、憂いがあるのかもしれない。じっと耐えて、見かけとは違う何かを伝えようとする。そんな事を気付かせてくれたブルーのダリア。それほど好きではなかった花を、グッと身近に感じた瞬間だった。
 んまっ! 見事な森マジックにストンと落ちて、あらまっ!と開き直って、スッと別人の如く美しい光を放つブルーの花たち。底知れぬ生命力としたたかさを堪能してため息を付く、ブルーの花たちに魅せられたステキな一日。
 森さんの青い花が見られる「癒 in bloom」展は、29日(日)までです。

| | コメント (6) | トラックバック (0)

2007年6月12日 (火)

宮廷画家と広告カメラマン

   ウフィッツィ、プラド、ルーブル・・・世界に名だたる美術館に納められた名画の数々には、その作品が生まれた時代背景や歴史が見て取れます。強力なパトロンの存在があってこそ生まれた名作の数々。Photo_454 とりわけ王家に仕えた宮廷画家達は、生活のためにひたすら肖像画を描きました。ゴージャスな宮殿の壁面に飾られたそれは、いわばポートレート。またある時は王女のお見合い写真。つまり“要修正”ですか。そりゃ、いろいろ言われた事でしょう。「おい、俺の鼻はこんなに不細工じゃないぞ。どこ見てんだ!」「ちょっとぉ〜! 何で私がこんなに、おばさんっぽいのよ。」と言われたかどうかはわからないけど、ベラスケスもゴヤも、自分が描きたいテーマとの葛藤に苦しんだと言います。
 王家に使えた宮廷画家たちに“描く自由”はあったのだろうか? ある冊子でそんなフレーズを読んだけいママ、頭に浮かんだのは“宮廷画家と広告カメラマンって似てなくもない?”・・・パトロンことスポンサーが望むのは「如何にこの商品がよく見えるか。」2_edited1_4 カメラマンは、その要求に最大限応えなくてはなりません。もちろん仕事が好きでたまらないプロフェッショナル達。宮廷画家とは違って、たくさんの分野の人たちとの共同作業には、厳しさに見合う達成感もあるでしょう。だけど彼らの胸の内で常に沸々と燃えたぎる写真への情熱・・・。
 クリエーティブディレクターとして、そこに身を置いていたひろパパは、一緒に仕事をする超一流の広告カメラマンが究極の“描く自由”を求めて、個人的に撮っている作品に出会いました。「撮ろうと思っている和花が届いても、用意していたバックとミスマッチだったらあっさりボツ!」と小林鷹さん。C421_4 広告写真では許されない事ですよね。 「外国に仕事に行くと寸暇を惜しんで、作品に使う花瓶を探しに出る」と森雅美さん。楽しい時間なんでしょうね、それは。 そうやって生まれた「和花」や「フローラ」は、ひろパパに「癒」をくれたのです。そして今、あなたに届けたい「癒 in bloom」 とてつもなく高い技術と、美意識の元に培われたプラスアルファ。伸びやかに拡がる世界に、カメラマン自身の「癒」をも感じます。PAXREXにて6月9日から開催中。鷹さんの新作もご覧いただけますよ。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

2007年5月25日 (金)

旅人とビザンティン

飛行機が海を越えて、異国の空にたどり着いた時、
眼下に広がる世界に、いつも胸がときめく。
つかの間ではあるけれど、旅という時の流れに身を委ねよう。
昨日までの日常を忘れ去ろう。
机の上の乱雑な書類を、しばし片隅に追いやるように。
Photo_438  今回“赤松章写真展”のブログに登場していただいたみなさま…キーワードは「ビザンティン」でした。その美を求めて旅立った方、あるいは偶然に引き寄せられた方。
かたくなに“神”を描こうとしたビザンティンは、決してルネッサンスのように華やかな美術ではありません。過去において未熟と評された時代も。けれど人々は気付き始めたのです。忙しい現代を生きる我々が、ともすれば忘れがちな、ひたむきでピュアで素朴で慈愛に満ちた美を持つ、それが「ビザンティン」だと。Photo_443 そして皮肉な事に、宗教の流れをよく知る欧米人よりも、むしろ遠い異国に暮らす我々が、よりその美を、たやすく理解し得る。それは浮世絵にも似た、遠近法とは無縁の美…。はい、マダムひろこの言われるペタン!我々日本人の持つDNAに、見事に反応するものだと…。 今や資料としても貴重な赤松章写真集「ビザンティン美術への旅」の巻末で、日本におけるビザンティン美術研究の第一人者「益田朋幸氏」が、やさしく解説してくださっています。
_edited1_34  今回、日本初のその展覧会を、神戸の小さなギャラリーで開催する事が出来たこと、トルコ共和国大使館、イタリア総領事館、フォトグラファー赤松章氏、ブログに協力してくださった方々に心からのサンクスを申し上げたいと思います。
 そして益田先生のこの言葉を旅人たちに・・・
「聖堂全体で語られるビザンティン美術を、日本で目にする事は不可能だ。しかし幸い赤松章氏の素晴らしい写真集がここにある。写真はそれ自体で多くの事を語るだろう」。
※赤松章写真展「ビザンティンの美」 5月27日まで、PAXREXにて。

| | コメント (6) | トラックバック (0)