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2007年11月 9日 (金)

藤井保氏の「ESUMI」

「ESUMI」  97年5月、スイス・チューリッヒのギャラリーから一通のFAXが、藤井さんの事務所に届きました。それは氏の撮影した写真集「ESUMI」に対する讃辞と、展覧会開催などに関するコンタクト依頼でした。
 女優の江角マキコさんのヌードも入った写真集・・・。日本の新聞や雑誌の中には、その局面だけを取り上げた記事も多くあっただけに、「ESUMI」 この海の向こうから届いた「アート作品としての高い評価」は、 藤井さんにとって大変に嬉しい、心に響くものだったようです。
そして10年の歳月を経て今なお、この写真集「ESUMI」の持つ芸術性は、海外はもとより日本国内でも高く認識されて輝きを放っています。
 藤井さんがこの一連の写真に込めた想いと狙いが、「藤井保の仕事と周辺」の一文に紹介されています。テーマは”風景と人との在り方”。それを生まれては消えるという自然界の連鎖の中で見ようとしたもので、「ESUMI」 かつては人も風景も共に美しく在ったのではないか、という氏のメッセージが込められています。海、空、山という3つのロケーションでの撮影は、海に流れ着いた女、天と交信する女、山に帰る女、立ち上がる女というストーリー性豊かなもの。 またスタジオ内では、体の部分部分が、闇の中に浮かび上がる標本のように撮影されています。
 藤井さんと江角マキコさんとの出会いは、映画「幻の光」から。 共に島根県出身ということで、自然に写真集を作ろうという流れになったようです。「ESUMI」 「相手のいいところを探して撮ろうとすると、相手はもっといいところを見せてくれる。」という藤井さん。氏にかかれば欠点も長所も実は紙一重、それは風景でも同じで、雨が降っていやだなと思うのではなくて、雨の景色もいいよねって思える自由さが大切だと・・・。
 この柔軟性と優しい視線! また一方で妥協を許さない厳しさと、今に留まらない先を見据えた眼差し。「ESUMI」には深く、静かな情熱が滔々と波打っています。西日本で唯一、藤井保さんの作品を扱うギャラリーPAXREX、現在開催中の「藤井保の世界 Ⅱ」展では、最新作「カムイミンタラ」と共に、写真集「ESUMI」のオリジナルプリントを数多くご覧いただけます。11月18日(日)まで。(水曜定休)

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コメント

前回の藤井さんの展覧会で初めてESUMI作品を見ました。
海・空・山という大自然の中に堂々と、また時には見えないくらいポツンと位置する江角マキコさんの姿がとても印象に残りました。
モノクロだということもあって、強く静かに訴えるものがありました。
自然のなかにおける、人の存在の「儚さ」と「強さ」の両方を感じました。
藤井さんのAKARIも好きです。
今回の展覧会も楽しみです!

投稿: まり | 2007年11月11日 (日) 03時43分

ベルギーに住む藤井作品ファンの方から
HPを見たんだけどESUMIのポスターがあれば
わけて欲しい、という連絡がありました。
残念ながらポスターは作っていないと
返事をしましたが、藤井さんの評価は
世界的に高まっていますよ。

投稿: ひろパパ→まりさんへ | 2007年11月11日 (日) 11時34分

ちょっと七五三が忙しくて・・・・
また、お邪魔しま~~~す
ブログだけじゃなくて、ギャラリーに・・

投稿: 三木写真舘 | 2007年11月11日 (日) 22時59分

はいはい、そりゃもうお忙しい時期でしょう。
藤井保展に来てくださったお客様に「20人の天使展」の図録を、早くも見て頂いてますが大好評ですよ!
作家さんからも素晴らしい図録が届いたとメールや、お葉書を頂戴しています。
ほんとに有り難うございました。今後もよろしくお願いします。

投稿: けいママ→三木写真館様 | 2007年11月12日 (月) 11時12分

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