ヴェネツィア・ビエンナーレ(3)
引き続きジャルディーニから。オープンカフェがあるちょっとした広場にも、こんなアートがありました。ゴミを出しているのではありません。ビールのケースのように見えるカラーブロックを積み上げた、ブラジル人グループの作品です。そういえば船着場から会場へ向かう途中、レストランの前庭にもアート作品がありましたっけ。ビエンナーレはメインの2会場以外に、ヴェネツィアのあちらこちらで展示が行われており、これらを見てまわろうと思えば1週間は必要でしょうね。
今回は残念ながらそんな時間はありませんでした。
さて、スペイン館の写真作品からまいりましょう。マニュエル・ヴィラリーニョの「影の変容」(スペイン語なのでよくわかりません)というタイトル。アルミにゼラチンシルバープリントしたものです。いろいろな人の影が親密に、また儚げに寄り添ったり離れたり・・・。あやふやな輪郭の中に不思議な存在感を漂わせていました。横幅12mにもなる集合写真です。 スイス館はイヴ・ネツハンマーの力作。広い館内を大迫力でうずめた花をモチーフにした作品群です。喜びに溢れたパワフルな展示は、見るものにもたっぷりパワーを与えてくれました。ただ単にハデなだけではなく、繊細なディテールの表現も見ごたえがありましたよ。
今回の紹介ではあえて取り上げていませんが、重い、暗い、政治的なテーマが多い中で、それらを突き抜けるアートの力を感じました。 かなり気に入ったので、写真をもう1枚入れておきましょう。読んでいただいている皆様にも生命のパワーが届きますように。
あとはベルギー館、エリック・デュイカエーツのガラスの迷路。ところどころに映像モニターが掛けられているのですが、見えているのに近づけないもどかしさが、なんとも現代風。 手を伸ばすと透明の壁に当たるのですから。ここではガラスが物質としての壁から、目に見えない時代や社会の壁に、意味が深まっています。
またフランス館のソフィー・カレの映像作品が、高い評価を受けているようでしたが、われわれには言葉の壁でもうひとつ。またまた壁です。(もう、安部公房じゃないんだから) 各界の女性100人が同じ文面の手紙(失恋の手紙らしい)を読む姿を映像化したもの。たしかに映像の質が高く、それぞれの出演者もすごくいい。でもフランス語が分かれば何倍もおもしろいだろうと思うと、意図を十分味わえない私としては減点です。とまあ、そんなところです。
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コメント
12日、無事にパリに着きました。
今回は孤独な旅ですが、既に色々と動き回っています。
イタリア・ビエンナーレの記事、楽しく読ませてもらっています。
ひとつひとつの作品の規模が大きいですね。
ガラスの迷路は実際に行ってみたいと思いました。
僕は迷路が大好きなので・・・
15日から、いよいよパリフォトです。
写真に関する話題をたくさん仕入れてきます。
また、帰ったらギャラリーにお話に行きますので、楽しみにしていて下さい。
投稿: TantoTempo | 2007年11月14日 (水) 22時57分
ヴェネツィア・ビエンナーレ第3弾、さすがヒロパパさん、記事にも力が入ってますね!
私は、スペイン館の「影の変容」が好きです。
見る側の取り様で形を変える、見る側に全てを託す、まさにアートの神髄だと思います。
これが何かと決めつけることが出来なければ、出来ないほどいいのですよね。
それにしても、本当に一つの作品が大きいですね。会場が巨大なのも納得します。
全部見るだけでも大変ですね。映像部門もあるのですね。フランス館の作品も興味深いです。
投稿: まり | 2007年11月14日 (水) 23時17分
パリのライブ情報、楽しく見せてもらっています。
いよいよパリフォトが始まりますね。
ヴェネツィアはアート全般にわたるので、写真に限ればパリが質量ともに圧倒的に素晴らしいのでしょうね。お話、期待してます。
投稿: ひろパパ→TantoTempoさんへ | 2007年11月15日 (木) 14時09分
アート作品は作るまでは作家のものですが、発表した後は見た人のものでもあり、社会のものでもあると思います。
だから作家と同じくらい、見る側の評価が大きな力を発揮するのではないのでしょうか。見るのに疲れるのも当然ですよね。
映像作品は結構多いですよ。最近のアートの傾向だと思います。
投稿: ひろパパ→まりさんへ | 2007年11月15日 (木) 14時25分