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2007年2月12日 (月)

ビル・ヴィオラは見ましたか?

 いま兵庫県立美術館で開催している「ビル・ヴィオラ~はつゆめ」展、もうご覧になりましたか? 思うに、この2年間では最上の展覧会ではないでしょうか。先月はじめまで森美術館でやっていたのが、やっと関西にも巡回してきました。「ビル・ヴィオラ~はつゆめ」展

 ビル・ヴィオラはナム・ジュン・パイクの次の世代でビデオアート界をリードする第一人者です。特に1990年代半ばからの作品はどれもこれも素晴らしい! むかし日本に滞在していたときに作った「はつゆめ」は、まだ独りよがりのゲイジュツという感じで、ついウトウトしてしまいましたが・・・。ビル・ヴィオラはビデオアート界の第一人者です 生と死、あるいは火と水で肉体の浄化と精神の再生を暗示させる、美しすぎる超スローモーションの映像。もちろんアートは作家が見方を押し付けるのではなく、見る側が勝手に解釈すればいいモノです。この作品は観客がそれぞれの思いで自由に見て、それぞれが深い感動を覚えるように仕上がっています。100人いたら100通りの感動。だからこそ歴史に残る名作になるのでしょうね。。

 また残酷な場面を見たのか、悲惨な姿を見たのか、その場面を見せずに極限の「恐怖」や「悲嘆」など、人間の根源的な感情を、見ている側の表情だけで表した作品もいくつかあります。私たちひとりひとりの個人的な思い出を掘り起こし、強く感情を揺さぶる見事な手法。止まっているようで動いている映像から、時間というものは瞬間の積み重ねで、その瞬間瞬間がものすごく深く濃密なんだと考えさせられました。オススメの展覧会です

 これらの作品は、ライティングもコスチュームもとにかく美しい。ラファエロの色やレンブラントの光、とうとう泰西名画の気品と格調をビデオもかちえたのです。ダ・ヴィンチもカラヴァッジオも、今生きていたらきっと絵筆を取らずにビデオカメラを手にしたに違いない、と思わせる圧倒的なできばえ。だって、視覚だけではなく時間の感覚までも自由に操って、表現できるんだもの、スゴイね。それに、これを見ると映像表現はもっともっと可能性があるな、とも感じるし。まだの方、3月21日(祝)までですからお急ぎください。ただし鑑賞時間はたっぷり取られることをお奨めします。印象派の展覧会のように、早足で通り過ぎて「ハイ、見ました」というわけにはいきませんから。お帰りにはPAXREXに寄って、ぜひ感想をお聞かせください。

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展覧会情報[2007]」カテゴリの記事

コメント

現代のアーティストの使命とは「アートを表現する新たな手法を生み出すこと」と誰かが言っていましたが、こういうことなんやろね。やるね、県美。

投稿: しょう | 2007年2月12日 (月) 20時32分

以前、県立美術館で若手アーティストの現代美術を特集した企画がありましたけど、その時にも映像作品がたくさんありましたっけ。

投稿: たく | 2007年2月13日 (火) 09時48分

アーティストとは、今までなかった表現やイメージを作り出す才能を持った人、と言えるでしょうね。新しい表現には、当然新しい技術が必要です。かつて油絵も最新技術でした。
だから、自分のイメージを表現するのに最適な技術を貪欲に取り入れて、誰も出来ないスタイルを確立した人が、歴史に残るホンモノのアーティストとして評価されるのだ、と思います。
美術館には、評価の定まった過去の有名作品で観客動員を図るだけではなく、このような新しい試みをもっともっと紹介して欲しいと思うのは、私だけでしょうか?

投稿: ひろパパ→しょうさんへ | 2007年2月13日 (火) 12時11分

たしか3年ほど前でしたね。日本にもがんばっているアーティストが沢山いると、うれしく思ったのを覚えています。でも、お客さんが少なくガラーンとしていました。我々観客も、「現代美術はわからない」と毛嫌いせずに、遊園地へ行くような感覚でもっと素直に楽しめるようになればいいですね。

投稿: ひろパパ→たくさんへ | 2007年2月13日 (火) 12時31分

前の文章に五時があったので、ここで訂正します。
管理人、これを見たら、前のを消して下さいね。

          ---------------

実は、
僕、Violaに感銘は受けませんでした。
云いたくないが、
この際、提言してみます。
否定的な事は書きたくない僕ですが、
皆さん、余りにも無知なので・・・・。

さて、っと。
やや、面白い第一ステージ。
一人のの男が走り来て、火が燃えるという、
現実では、さあ3分もない時間を、
デジタルに、何十倍にも時間を延ばす玩具を与えられた作者の、まあ云ってみれば、自慢の作品なのでしょう。
僕達は、ただ走り来る男のフォルムを観賞しては居るのだが、
それは、実は役者(或いはモデル)の運動を撮影した、
やや演出効果の高い運動を、
非現実的な映像を見ているだけだ、
と言うことに気付いたのは僕だけだろうか。
作者が、何を見せようとしているのかは、僕には理解出来ていないまま、
裏の水の落ちる同じアイデアの映像を、
見る破目に逢うわけだ。
おお、
Too Much! That's Enough! Billy.
そんなのは、僕らは(映画屋は)、随分、見てきたんだぜ。
特に、貴殿の最後に見せられた、56分の作品は、僕等(映画屋)の云う、Rush Filmってヤツだ。
あんな事は、映画屋さん達は、腐るほど撮って来たし、見て来たのだよ。

黒澤明と、
Sam Pekinpahの
作品にBillyは影響されていると思う。
映画作家なら、キット君の様な事を作品とはしないでしょう。
勿論、そんな玩具を貰ったら、君のように撮るでしょうが…。
撮るものは、独自で違うものを撮るはずですが、
ソレを作品にはしないと思います。
Billy,君の表現したい物は、
何かは僕に判らなくっても良いのだが、
役者(或いはモデル)に演技させた短い時間を、
君の好きな時間に引張り伸ばしたら、面白いかな・・って
思っただけだとしか見えないのです。
僕だけが間違ってれば良いけど、
皆様は、
君のそのテクニック(Thoughtlessな)に、魅入られて居るだけだと、僕は感じます。
どうだって良いけど、ソレが”ART”なんて、
俺、感じなかった。
誰だって、
思ったたことを映像化しても良いのだよ。
でも、
誰だって、
思ったた事も、書いても良いのだよね。
だね。
Right, Billy Boy?

投稿: 木村 太郎 | 2007年3月 1日 (木) 22時37分

そうですか、感銘を受けられなかったのですね。
私は感動したからブログに書いたのですが(当たり前か)。
たしかに56分の「はつゆめ」は、本文でも書いたように全く時間の無駄でした。きっと日本での展覧会ということで、キュレーターが集客の目玉にしたかったのでしょう。
でも他の作品は素晴らしいと思いました。「作者が何を見せようとしているのか理解できない」とのことですが、ヴィオラは何かを見せよう、何かを伝えようとして作品を作っているのではないと思います。ヘンな言い方ですが・・・。
彼はいわば鏡で出来た部屋を作ったのだ、と私は受け取りました。「悲惨」や「嫉妬」がテーマの部屋を。その部屋に入った観客は、自分自身の内面、経験や思想をじっと見つめることになる。100人が見たら100通りの感じ方をする、そんな仕掛けが面白いと思ったのだと、勝手に解釈しているのですが。
使われているテクニックは、あくまでこんな仕掛けを作るための部材に過ぎずません。一人ひとりの勝手な思いを映し出すがらんどうの部屋。ヴィオラの作品は、15分や20分の時間をかけて体験する新趣向のテーマパークのライドのようなもの、と言うのは乱暴でしょうか。
またコメントをつけてくださいね。

投稿: ひろパパ→木村太郎さんへ | 2007年3月 3日 (土) 15時50分

先日、わがメール仲間に、この美術展の感想などを
書き、その際、このビル・ヴィオラ展を見るきっかけを
つくって貰った、ひろパパのコメントを添付させてもらいました。2,3の友人から反応があり、絶対見に行きたいということでしたよ。きっといつか感想が届くでしょう。

投稿: Deep Shell | 2007年3月12日 (月) 16時17分

それは素晴らしいですね。
こんな新しい発見がある展覧会って、
そうあるものじゃないですからね。
あと1週間ほどで終わってしまいますから
急がれたほうがいいでしょうね。
友人の方々の感想も聞きたいものです。

投稿: ひろパパ→Deep Shellさんへ | 2007年3月12日 (月) 18時47分

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