2014年10月26日 (日)

フィレンツェ室内オーケストラ

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 カルツァイオーリのオルサンミケーレ教会でのコンサート。教会コンサートと言っても毎晩観光客を相手に開かれているものとは一線を画す、フィレンツェ室内管弦楽団の定期演奏会に行ってきました。しかも、それがとても意欲的なプログラム。たまたま歩いていて見つけたコンサートにしては、上出来すぎる演奏でした。Photo
 オルサンミケーレは四方の壁にドナテッロやギベルティの彫刻の名品が飾られているので有名だが、それらはレプリカ。風雨や排気ガスなどで傷みがひどいので、じつは本物は内部に展示されている。それら聖人の彫刻にまわりを囲まれて演奏が行われる。だからここでは大編成のフルオーケストラは無理で、30人ぐらいの室内オーケストラにぴったりのサイズ。音の響きもとてもよかったです。
 演目は、まずE.VELLA(ヴェッラ)の「Migranti」というタイトルの小品。日本語では、渡るもの、移動する人、あるいは渡り鳥というような意味でしょう。すごく現代的で音色が豊かな曲だな、と思って聞いていたら、終わったあと、30歳になるかならないかの若者がステージに呼ばれました。彼が作曲家で、しかもこの夜が初演だったようです。少し緊張気味の若い才能に観客から惜しみない拍手が送られました。

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  そのあとの二曲はベルリンフィルの首席フルート奏者を長く務めるアンドレアス・ブラウをソリストに迎えたフルート曲。モーツァルトの「フルート協奏曲第一番」と、フランソワ・ボルヌの「ビゼーのカルメンより、フルートとオーケストラのための幻想曲」、カルメンファンタジーと呼ばれるフルートの技巧を披露する華麗な名曲です。
 ブラウのカルメンファンタジーは圧巻の一言。超絶技巧とゆたかな情感、哲学的な静けさとほとばしる情熱。この見事な演奏を、わずか3mほどの至近距離で聴けるのですから。もうサイコーです。2曲の演奏が終わると、全員スタンディングオベーション。鳴り止まない拍手に応えて、アンコールでカルメンのさわりを聴かせてくれました。

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 そしてインターミッションのあと、最後の一曲はシューベルトのシンフォニア第5番。流麗なアンサンブルで、室内楽ならではの魅力を満喫しました。手の届きそうな近さで世界最高峰の演奏を楽しむ。( しかも安い!) この世界に2つとないユニークなステージは、フィレンツェに旅行されたときはおススメです。うまくいいコンサートに出会えれば最高!
 

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2014年10月24日 (金)

イタリア新キッチン事情

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 3週間前になります。フィレンツェのアパートに到着して、設備の説明を受けていた時に感心したことがあります。なんと冷蔵庫や食洗機がビルトインされていたのだ。外から見ると四つ口のガスレンジとシンク、オーブン、電子レンジが見えるだけで、あとはたっぷりの収納スペース。いちばん右の縦長の上部が冷蔵庫、株が冷凍庫。その左が食洗機。やけにすっきりしているでしょ。これは白いシンプルなデザインのせいだけではない。
 日本のキッチンとの比較で考えると、当然のようにおいてある冷蔵庫がない、いやあるけど見えない。それだけで全然違う。ショールームのようなカッコよさを追求した家でもないし、特にお金をかけた設備でもないけれど、美しい。ごくごく一般的な暮らし、だと思う。
 日本では家電各社がそれぞれデザインを工夫している。しかし単体のデザインが頑張れば頑張るほど、キッチン全体として見れば統一感を崩し、部屋のデザインを悪くしている。ゴチャゴチャと汚く見えるのだ。

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 フォルテッサ・バッソで開かれていたインテリアショーを見に行った。モダンスタイル、田舎の農家スタイル、狭いキッチン、広いキッチンとさまざまなキッチンの提案がされている。Photo_3 素材も木、ステンレス、石、タイル、樹脂などいろいろ。そのどれもが冷蔵庫や食洗機はビルトインなのだ! 不思議なのは、「お、すごい、すごい!」というこちらの興奮に反して、イタリア人たちは特に関心を示すわけではなく、素材の大理石などをちょっと触るだけで通り過ぎていく。彼らにとっては、面白くもなんともない。う~ん、きっとこのビルトイン方式が常識なのだ。それに気づいて、ますます驚きました。しかもどの会社の製品も、中の冷蔵庫の扉と外の収納システムの扉が一体となってスムーズに動くよう、特別のレールと金具まで取り付けてある。見た目だけではなく、じつに機能的なのだ。

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 ビルトイン専用に作っている冷蔵庫メーカーがあるのか、それともビルトイン用の規格があって各社ともその規格に合う製品を作っているのか、実態は知らない。でも日本の家電メーカーや家作りは、イタリアに完敗だと思いました。いままで2回アパートを借りているが、以前は冷蔵庫が見えていたよなぁ。とすれば最近の潮流かもしれない。なら、日本もそれに習って変わっていくのかな。

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2014年10月22日 (水)

ストロッティ宮でピカソ

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 フィレンツェで「Picasso e la modernita' spagnola (ピカソとスペイン20世紀の画家たち)」展を見ました。場所はストロッツィ宮。ルネサンス期から続く石組の建物がたくさん残るフィレンツェでも、特に大きな石を積み上げられたこの宮殿は、アートイベントや ファッションイベントなどによく使用されている。
 今回の展覧会は1910年から1963年までのパブロ・ピカソの絵画、版画、立体作品、陶器など90点と、同時代のダリ、ミロ、タピエスなどスペインを代表する画家の作品で構成されている。バスの車体に大きく広告を出したり、いろんなところにポスターを掲示したり、積極的なマーケティング活動のせいもあって、連日、大盛況です。

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 展示作品はマドリードのソフィア王妃芸術センターから持ってこられたものである。あの『ゲルニカ』を展示している20世紀以降の近現代美術の殿堂だ。一昨年の秋に見に行ったけれど、建物も展示作品も素晴らしい美術館です。もちろんゲルニカ本体は門外不出なのでマドリッドから動かせない。だからゲルニカ関連は、馬や泣く女、牡牛などのスケッチが展示されている。長い歴史に囲まれた街・フィレンツェではうれしい企画だ。
 というのもフィレンツェにはルネサンスからバロックにかけての、人類の至宝とも言える名画、傑作彫刻がごろごろあるが、現代アートはマリーノ・マリーニ美術館以外、見るべきものがなかった。それでも観光客は世界中から来てくれるし、なにも現代アートまで力を入れる必要はないと考えていた街だ。ちょうど大仏さんがあれば観光客は来てくれるという奈良のように。

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 ところが最近は少し様相が変わって来たようです。今年の6月にはMUSEO NOVE CENTO(20世紀美術館)がサンタ・マリア・ノヴェッラ広場に面した由緒ある建物の中にオープン!(これは後日紹介しようと思います) ここストロッツィ宮でも、ちょうど若いアーティストが中庭でインスタレーション作品の展示作業を行っていました。こんな芽が順調に育って、過去の栄光の歴史だけではなく未来に向かうフィレンツェになればすてきだと思います。
 

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