2014年11月23日 (日)

現代版だまし絵 礼賛

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 いま兵庫県立美術館で開催されている「だまし絵 Ⅱ」展。2009年に大好評だった展覧会の続編です。ポスターやチラシにフィーチャーされている作品こそアルチンボルドの『司書』だけれど、中核となるのは20世紀後半から現代にいたるコンテンポラリーアート。これがマグリットやエッシャーなどよりはるかに面白い。そりゃ当然か。これら先人のアイデアを研究し、技術もはるかに進歩して、多様な素材が出現して、そりゃ面白くならないわけがない。

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 すりガラスやミラーを利用したり、映像の冒険をしたり、立体物で表現したり、写真技術でだましたり、光と影を活用したり・・・。現代の作家たちは、ありとあらゆる手法を考案して、未だ見たこともないヴィジュアルで楽しませてくれる。気に入った作品の作家名だけでも紹介しておこう。
 レアンドロ・エルリッヒ、田中偉一郎、ラリー・ケイガン、メアリー・テンプル、福田繁雄、ゲルハルト・リヒター、パトリック・ヒューズ、フーゴ・ズーター、エヴァン・ペニー、ヴィック・ムニーズ、杉本博司、チャック・クロース。ま、この展覧会はいくら画像で見ても面白さは半分も伝わらない。現物を見て、気持ちよくだまされてください。それしかありません。

だ ま し 絵 Ⅱ
兵庫県立美術館
2014年10月15日(水)~12月28日(日)

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2014年11月20日 (木)

METから、古代エジプト展

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 ニューヨークのメトロポリタン美術館が誇るエジプト・コレクションから、“女性”をテーマにした名品約200点がやってきました。METはとんでもなくでっかい美術館。フェルメールや尾形光琳などなど見たいものがいっぱいあって、それらを優先しているとエジプト・コレクションまで手が回らずまだ見たことがなかった。ただしエジプトものが素晴らしいことは知っていました。METのシンボルキャラクターが古代エジプトの青いカバ、ウィリアム君だから。(今回は来ていませんが)
 じっさい見ていくと、女王ハトシェプストや女神ハトホルの石像や壁画、豪華な宝飾品や鮮やかに彩色された木の棺など粒ぞろいだ。とても3000年、4000年を経ているとは思えないほど保存状態が良い。

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 会場の神戸市立博物館はスケールはぐっと小ぶりだけれど、どことなくNYのメトロポリタンに似てるでしょ。新古典主義様式というのでしょうか、古代ギリシャ神殿のような重厚なファサード。そんな場所でMETのコレクション展を開催するなんて、なんとなく微笑ましい。
 展示会場を出てグッズコーナーをのぞくと、ウィリアム君がいました。Photo_5 ぬいぐるみやTシャツで。以前からなぜウィリアム君は青いのか?疑問に思っていましたが、今回の展覧会を見て謎が解けました。この青い素材は陶器で『ファイアンス』と呼ぶようだ。今回の展示200点のうちなんと40点ほどがこの青いファイアンスなのです。石やアラバスターやブロンズ・・・素材はいっぱいあるのに。よほど当時の王さまやお妃さまに好まれたのでしょう。スカラベやビーズはもちろん、チェスのようなゲーム盤や神事の道具にまで印象的な青いファイアンが使われていました。

メトロポリタン美術館
古代エジプト展 --女王と女神 - -
神戸市立博物館
2014年10月13日~2015年1月12日(月・祝)

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2014年11月17日 (月)

加藤泉さんの異星ワールド

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 その原初的、その未来的、その宇宙的・・・言葉ではうまく表現できない魂の奥深くに響いてくるカタチ。いつものことながら加藤泉さんの作品はすごくチカラがあります。
Photo_2  六甲山と有馬温泉を結ぶロープウェーの六甲山頂駅に、いまは廃線になったロープウェー車両がそのまま置いてあります。以前は六甲ケーブル山上駅とここを結んでいて、ケーブルカーとロープウェイを乗り継いで有馬温泉までハイヒールで行ける、というものだった。でも摩耶山からケーブル山上駅、高山植物園、ガーデンテラスへと、バスの便がたくさんあって競争に負けてしまったのでしょう。(その片割れはケーブル山上駅の下に残っている)
 その駅と車両しゃくなげ号を、まるで遺跡のようなとらえ方で時空を超えたアート空間に変えてしまった加藤泉さん。昨年は高山植物園で、寝転がった身体から木が生えてきた人間、あるいは宇宙人、あるいは生命を表現して楽しませてくれましたが、今年は駅の廃墟と捨て置かれた車両が舞台。

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 最初の写真はその車両の中に置かれた作品です。天井からぶら下がった異星人のような姿も見えます。コンクリート壁の梁の上にはだれか座っています。どうもこの場所は平成の、日本の、六甲山ではないようだ。Photo 何億光年も遠く離れたどこかに地球そっくりの星があって、あなたや私に似たような似てないような生命体が普通に生活している。あっ、もしかして天国とか神さまってこんな感覚? 廃線になった駅、という美しくもなく面白味もない場所が、がぜん輝いてきた。場の磁力を発している。
 三体の作品のみに目がいっていたが、じっくり見ているうちに作品の周りの空間がじんわり濃密になってくるのを感じる。さすが、加藤泉。六甲ミーツ・アートも残り期間はあとわずかになりましたが、ぜひ足をお運びください。

六甲ミーツ・アート 2014
2014年9月13日(土)~11月24日(月・祝)

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