2014年10月22日 (水)

ストロッティ宮でピカソ

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 フィレンツェで「Picasso e la modernita' spagnola (ピカソとスペイン20世紀の画家たち)」展を見ました。場所はストロッツィ宮。ルネサンス期から続く石組の建物がたくさん残るフィレンツェでも、特に大きな石を積み上げられたこの宮殿は、アートイベントや ファッションイベントなどによく使用されている。
 今回の展覧会は1910年から1963年までのパブロ・ピカソの絵画、版画、立体作品、陶器など90点と、同時代のダリ、ミロ、タピエスなどスペインを代表する画家の作品で構成されている。バスの車体に大きく広告を出したり、いろんなところにポスターを掲示したり、積極的なマーケティング活動のせいもあって、連日、大盛況です。

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 展示作品はマドリードのソフィア王妃芸術センターから持ってこられたものである。あの『ゲルニカ』を展示している20世紀以降の近現代美術の殿堂だ。一昨年の秋に見に行ったけれど、建物も展示作品も素晴らしい美術館です。もちろんゲルニカ本体は門外不出なのでマドリッドから動かせない。だからゲルニカ関連は、馬や泣く女、牡牛などのスケッチが展示されている。長い歴史に囲まれた街・フィレンツェではうれしい企画だ。
 というのもフィレンツェにはルネサンスからバロックにかけての、人類の至宝とも言える名画、傑作彫刻がごろごろあるが、現代アートはマリーノ・マリーニ美術館以外、見るべきものがなかった。それでも観光客は世界中から来てくれるし、なにも現代アートまで力を入れる必要はないと考えていた街だ。ちょうど大仏さんがあれば観光客は来てくれるという奈良のように。

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 ところが最近は少し様相が変わって来たようです。今年の6月にはMUSEO NOVE CENTO(20世紀美術館)がサンタ・マリア・ノヴェッラ広場に面した由緒ある建物の中にオープン!(これは後日紹介しようと思います) ここストロッツィ宮でも、ちょうど若いアーティストが中庭でインスタレーション作品の展示作業を行っていました。こんな芽が順調に育って、過去の栄光の歴史だけではなく未来に向かうフィレンツェになればすてきだと思います。
 

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2014年10月20日 (月)

マッラーディの栗まつり

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 フィレンツェからファエンツァ行の列車で1時間20分ぐらい、トスカーナ北東部の山の中の小さな村がマッラーディ。ここで10月の毎日曜日、村を挙げての栗まつりが開催されます。Photo_5 列車の乗客はほとんどがここの駅で降りる。普段は静かなこの村が、大賑わいを見せる栗まつり、今年で51回目だそうだ。
 いろんな種類の栗をはじめ地元で採れた果物、野菜、ハチミツ、チーズ、ハム、ソーセージ、ワインなどの露店がずらり。食品だけではなく、台所道具や子供のおもちゃ、洋服から栗の木を使った家具やアンティークを扱う店まで。これらの店の広がりをみると、観光客を相手にするだけの祭りではなく、地元の人々も毎年楽しみにしていることがよくわかる。

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 いっぱい並ぶ焼き栗屋さんも、回転する機械を使ったり昔ながらの鍋をあおったり、さまざまな焼き方で味を競う。またマロングラッセのような栗そのもののカタチを生かしたお菓子や栗粉を使ったケーキなど、いかにも手作りという感じの素朴な味。トスカーナの秋を実感する。Photo_6
 お菓子の名前を挙げるとクッキーの上にマロングラッセをのせたようなバルチェッテ・ディ・マローニ、典型的な栗のケーのトルタ・ディ・マローニ、パスタ皮で栗クリームを包み込んだトルテッリ・ディ・マローニ、栗粉をバターやミルクで練ったものを揚げたフリッテッレ・ディ・ファリーナ・ディ・マリーニ。串に5粒刺してキャラメルを塗った、まるで「みたらし」のようなものも。
 いずれも有名パティシエが作るような洗練はないが、素材の良さがしみじみと伝わってくる。

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 昼食は地元のテニスクラブが栗まつりのときだけ開いている大食堂でいただく。この村にあるレストランやカフェだけでは祭りに押し寄せる観光客はとても収容できないだろう。Photo_4 だから、このときとばかりクラブ会員が総出でオモテナシ。小学生ぐらいの子供たちまでお手伝いです。みんなおそろいのTシャツでかいがいしく働いていて、見ていてとても気持ちがいい。料理もキノコやイノシシなど、地元の名産がふんだんに使われた家庭料理。マンマの味だ。
 おいしいだけではなくお値段も手ごろだし、なにより一生懸命さがいい。店の飾りつけも手作り、薪で肉を焼く人、キャッシャーでお金を扱う人、英語で案内をする人、それぞれ自分のできることを分担して、多くのお客さんを迎えている。おすすめです。
 
 

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2014年10月17日 (金)

チェコフィルの夕べ

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 プラハへ来た理由の一つが、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団の演奏会を聴くこと。彼らの本拠地、ルドルフィヌムにあるドヴォルザーク・ホールで夜7時半から10時ごろまで、ゆたかな音響のホールで珠玉の演奏を楽しみました。このオーケストラの歴史は1896年にこのホールでドヴォルザーク自身の指揮で始まったという。そんな由緒ある場所だと聞くと、この場にいるだけで幸せになる。Photo_3
 また、ここは『のだめカンタービレ』の映画の撮影に使われたホールだそうです(残念ながら観てません)。のだめと千秋がヴィエラ先生指揮の演奏を聴いた場所なんだって。ファンの方、いい加減な説明でごめんなさい。
 特にドレスコードがあるわけではありませんが、観客のみなさんは精一杯ドレスアップして集まっている。私たちもこの日のために持ってきた服に着替えて、その雰囲気に溶け込む。そして演奏が始まる前にシャンパンやコーヒーで高まる気持ちをリラックスさせて席に着く。

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 この夜の指揮はマンフレード・ホーネック。演奏が始まる前に、レコーディングを行うので協力お願いします、とのアナウンス。演目はヤナーチェクのオペラ『イェヌーファ』からの組曲。リヒャルト・シュトラウスの『死と変容』。マーラーの『少年の魔法の角笛』。どれもチェコゆかりの作曲家が19世紀終わりごろに作った曲。後期ロマン派(?)のドラマティックな表現と多彩な音色を駆使したオーケストレーションで、さまざまなイメージを喚起させる曲の組み合わせ。聴衆を飽きさせない見事な演奏でした。
 マーラーの歌曲集はバリトン歌手のマティアス・ゲルネがソリストで参加。少年の希望と挫折、成長と悲劇的な結末を圧倒的な表現力で歌い上げる。終わっても拍手鳴り止まず。何度も何度もあいさつに現れました。
 チェコフィルの高い技量、ホール全体が一つの楽器になったようなハーモニー。感動を反芻しながら、ひんやりした夜風に吹かれてブルダヴァ川に沿ってホテルまで歩きました。

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