2014年11月26日 (水)

篠山紀信 vs. 横尾忠則

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 1968年の三島由紀夫にはじまり、1970年代半ばまで。嵐寛寿郎、高倉健、鶴田浩二、手塚治虫、美輪明宏、深沢七郎、浅丘ルリ子、瀬戸内寂聴、唐十郎、カルロス・サンタナやポール・デイビスなど、横尾忠則が憧れた映画スターや作家、デザイナーなどと共演(?)した篠山紀信による写真集『記憶の遠近術』から、約70点が展示されている。

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 共演相手に合わせたコスプレやキャラクター性の強調など、人物はもちろん撮影の場そのものも演出して作り上げた独自のYOKOO-KISHINワールド。人選も春川ますみや横山隆一、柴田錬三郎、川上哲治と大下弘など横尾さんの世界観がムンムンと漂っている。しかもその時代の空気が生々しくよみがえってくる見事な人選だ。懐かしさと危なっかしさの共存。甘いようで鼻にツンとくる感覚。同時代を生きた団塊より上の世代にはたまらない。

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 その後に撮影された数点は、横尾さんのアトリエの『シノラマ』や家族の肖像。こうやって見てくると、この展覧会は横尾忠則という天才の生き様と交友関係を通して、ある時代の日本を切り取って私たちの目の前に差し出してくれたようなもの。若い人たちには父親母親、もしかしたら祖父母の時代がどんなものだったのか、「三丁目の夕日」よりもう少し後の、もう少しビターな切り口を味わって欲しいと願います。そして横尾忠則や篠山紀信が大先生になる前の、情熱とエネルギーと狂気を感じてみてください。

記憶の遠近術
篠山紀信、横尾忠則を撮る

横尾忠則現代美術館
2014年10月11日(土)~2015年1月4日(日)

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2014年11月23日 (日)

現代版だまし絵 礼賛

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 いま兵庫県立美術館で開催されている「だまし絵 Ⅱ」展。2009年に大好評だった展覧会の続編です。ポスターやチラシにフィーチャーされている作品こそアルチンボルドの『司書』だけれど、中核となるのは20世紀後半から現代にいたるコンテンポラリーアート。これがマグリットやエッシャーなどよりはるかに面白い。そりゃ当然か。これら先人のアイデアを研究し、技術もはるかに進歩して、多様な素材が出現して、そりゃ面白くならないわけがない。

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 すりガラスやミラーを利用したり、映像の冒険をしたり、立体物で表現したり、写真技術でだましたり、光と影を活用したり・・・。現代の作家たちは、ありとあらゆる手法を考案して、未だ見たこともないヴィジュアルで楽しませてくれる。気に入った作品の作家名だけでも紹介しておこう。
 レアンドロ・エルリッヒ、田中偉一郎、ラリー・ケイガン、メアリー・テンプル、福田繁雄、ゲルハルト・リヒター、パトリック・ヒューズ、フーゴ・ズーター、エヴァン・ペニー、ヴィック・ムニーズ、杉本博司、チャック・クロース。ま、この展覧会はいくら画像で見ても面白さは半分も伝わらない。現物を見て、気持ちよくだまされてください。それしかありません。

だ ま し 絵 Ⅱ
兵庫県立美術館
2014年10月15日(水)~12月28日(日)

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2014年11月20日 (木)

METから、古代エジプト展

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 ニューヨークのメトロポリタン美術館が誇るエジプト・コレクションから、“女性”をテーマにした名品約200点がやってきました。METはとんでもなくでっかい美術館。フェルメールや尾形光琳などなど見たいものがいっぱいあって、それらを優先しているとエジプト・コレクションまで手が回らずまだ見たことがなかった。ただしエジプトものが素晴らしいことは知っていました。METのシンボルキャラクターが古代エジプトの青いカバ、ウィリアム君だから。(今回は来ていませんが)
 じっさい見ていくと、女王ハトシェプストや女神ハトホルの石像や壁画、豪華な宝飾品や鮮やかに彩色された木の棺など粒ぞろいだ。とても3000年、4000年を経ているとは思えないほど保存状態が良い。

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 会場の神戸市立博物館はスケールはぐっと小ぶりだけれど、どことなくNYのメトロポリタンに似てるでしょ。新古典主義様式というのでしょうか、古代ギリシャ神殿のような重厚なファサード。そんな場所でMETのコレクション展を開催するなんて、なんとなく微笑ましい。
 展示会場を出てグッズコーナーをのぞくと、ウィリアム君がいました。Photo_5 ぬいぐるみやTシャツで。以前からなぜウィリアム君は青いのか?疑問に思っていましたが、今回の展覧会を見て謎が解けました。この青い素材は陶器で『ファイアンス』と呼ぶようだ。今回の展示200点のうちなんと40点ほどがこの青いファイアンスなのです。石やアラバスターやブロンズ・・・素材はいっぱいあるのに。よほど当時の王さまやお妃さまに好まれたのでしょう。スカラベやビーズはもちろん、チェスのようなゲーム盤や神事の道具にまで印象的な青いファイアンが使われていました。

メトロポリタン美術館
古代エジプト展 --女王と女神 - -
神戸市立博物館
2014年10月13日~2015年1月12日(月・祝)

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