2021年1月22日 (金)

花森安治という文化

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 第二次世界大戦が終わって間もなく、花森安治と大橋鎭子によって1948年に創刊された雑誌『暮しの手帖』(最初期は『美しい暮しの手帖』)は、戦後日本のライフスタイル構築と女性の地位向上に大きな足跡を残しました。『暮しの手帖』は、編集長としてまた表紙絵の画家として長年活躍した花森さんの思想と文化そのものです。

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 豊かで良質な暮し。先進的な欧米文化の紹介。独自に実施する商品テスト。美しい生活文化の指針として、われわれ団塊の世代も大きな影響を受けたものです。神戸出身の彼は、「新しもの好きで飽きっぽい。すぐあきらめるけど楽天的。過去を顧みず今日と明日だけを考えて生きる」神戸人の代表のように思っていたらしい。そんな神戸にフォーカスした展示は見ごたえがある。

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 この展覧会を見ると、花森安治の先進性とセンスの良さを改めて思い知らされる。1978年まで続けた表紙原画の素晴らしさはもちろん、依頼する執筆者も柳宗悦、小林一三、猪熊弦一郎、小磯良平、無着成恭、棟方志功、犬養道子など錚々たる顔ぶれ。美意識に裏付けられた編集者としての哲学とブレない姿勢に感動です。

花森安治
『暮しの手帖』の絵と神戸
2020年12月19日(土)~2021年3月14日(日)
神戸ゆかりの美術館

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2021年1月19日 (火)

こうしてドラキュラは生まれた

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 15世紀半ば、オスマントルコ帝国の強大な力に征服されそうになっていたヨーロッパ。その最前線が今のルーマニアだ。その地で国と民衆を守るために戦ったのがワラキア公国の君主ヴラド3世。戦闘とは言え「串刺し公」と呼ばれるぐらいかなり残忍な行為もあったようだ。もう一つの名前「ドラキュラ」はドラゴンの息子の意味。

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 当時トルコは支配下にある周辺諸国から優秀な少年を差し出させ、皇帝に忠誠を尽くす屈強な殺人マシンに育て上げた。そして彼らが属する精鋭部隊イェニチェリは味方からも恐れられたという。自分の息子をはじめ「領国から1,000名の少年を差し出せ」と迫られたヴラドは、大軍に立ち向かうために強大な力を必要とした。

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 彼は悪魔と契約を交わし、恐るべき力と引き換えに吸血鬼になるという代償を払う。1897年に刊行されたブラム・ストーカーのホラー小説「吸血鬼ドラキュラ」はヴラドのその後の姿。ゲイリー・ショア監督の『ドラキュラZERO』は、故国を侵略から救った史実とこの小説をうまく織り交ぜて、吸血鬼ドラキュラの誕生を描いた作品です。

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 古くから世界各地で語られてきた吸血鬼(ヴァンパイア)伝説。生命の根源である「血」を吸って不死を得る。「鬼滅の刃」の大ヒットもそうですが、人間の想像力を刺激するのでしょうか。愛する者のために自らの身を犠牲にする勇者。この映画は気持ち悪いだけではなく、素敵なオマケがラストについています。お見逃しなく。

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2021年1月16日 (土)

2020年はサイテーだった

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 Netflixがコメディイベントと称する映画『DEATH TO 2020  さらば!2020』。チャ-リー・ブルッカーとアナベル・ジョーンズの作品です。新聞記者や歴史学者、心理学者や科学者、政府報道官や億万長者、女王陛下から一般庶民まで、さまざまなコメンテーターが英国と米国の視点でニュース映像とともに2020年を振り返る。

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 ところが彼らはすべて架空のキャラクターなのだ。サミュエル・L・ジャクソンやヒュー・グラントなど有名な俳優さんが演じている。言わばドキュメンタリーの形で描いたフィクション。こんなユニークな仕組みだからこそ繰り出せる辛辣な意見、キツイ風刺、過激なジョークは、笑えないけど面白い。普通の報道よりはるかにリアルだ。

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 オーストラリアの山火事、ダボス会議のグレタ・トゥンベリーのスピーチ。真面目な一年の総集編かと思っていたら、足元をすくわれる。バカバカしさと不真面目さ。大人の悪ふざけ。大統領選挙の公開討論会は、「老人ホームのラップバトル」という感じ。しかも事件を語るコメンテーターたちが、みんなクセが強くてヘンなのだ。

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 それにしても酷い一年でしたね。激化する自然災害やコロナウイルスによるパンデミックはまだ理解できる。でもブラック ライブズ マターに異様な大統領選挙騒動など、人間の知恵で築き上げてきた文化や美徳がひっくり返されたのはショックでした。後世、2020年は歴史の変わり目の年と呼ばれるかもしれませんね。

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 最後にコメンテーターみんながしゃべるセリフが、「土壇場でみんな目を覚ました。怖い夢だった」。果たして夢だったのでしょうか。ウソの日常化。身勝手と分断。どうか悪夢であってほしい。2020年に死を! さらば!2020年。それでは、生まれ変わった新しい時代をポジティブに楽しみましょう。

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