2019年3月23日 (土)

フェルメール6作品が大阪へ

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 フェルメールの作品が日本初公開も含めて6点、大阪市立美術館へやって来ました。雨の平日にもかかわらず、かなりの人出です。それでも7年前に「真珠の耳飾りの少女」が神戸に来た時に比べると、だいぶんましです。フェルメールというだけでお客さんが押し寄せる17世紀オランダの画家。現存するのはわずか35点という希少性も人気の秘密なのでしょう。

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 へえ、こんな絵も描いていたのか、という初期の作品も来ている。人々の日常を題材とする静謐な風俗画で高い評価を受ける彼が、独自の世界を確立するちょっと前、24歳ごろのもの。上品な風俗画というよりは賑やかなフーゾク画と呼びたいような.。しかしこのころから腕は確かですよね。

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 吟味された構図と厳格な遠近法。緻密な筆づかいと優しい光の表現。美しく洗練された画風は他の追随を許さない。いち早く市民階級が誕生したオランダでは、貴族や教会など古い権威から解放されて自由になった商人や工場主が、芸術でも新しい表現を求めていた。それにうまくフィットした画家の代表がフェルメールです。

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 スタイルが確立して以来、手紙を書く婦人も牛乳を注ぐ女性も彼の代表作はすべて彼のアトリエで描かれている。向かって左に窓があり、その窓から入る穏やかな光による微妙な陰影は、カメラの原型であるカメラオブスキュラを覗いて描いていたというからとても正確だ。床は白黒の市松模様。これも遠近法による奥行き表現に役立っている。

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 部屋の様子以外にもおもしろい発見があります。彼の絵には同じコスチュームが登場すること。二つ上の手紙を書いている人と同じ黄色の服でしょ。この服は43歳で亡くなった彼の財産目録にも載っているそうです。場所も服も使いまわしてる。奥さんや同居していた姑さんがキツイ人だったと伝わっています。才能ある芸術家も苦労してたんだ。親しみを覚えませんか。

フェルメール展
2019年2月16日(土)~5月12日(日)
大阪市立美術館

 

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2019年3月20日 (水)

ピンク・フロイドの夜

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 時空を超える音芸術と光のスペクタクル TIME TRIP COSMOS with PINK FLOYD が3月16日(土)に神戸税関の中庭で開催された。立川直樹さんの総合プロデュース・構成による2時間あまりの濃い時間。まだ明るい日没前から夜8時過ぎまでたっぷり楽しめました。

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 プログレッシブ・ロックと呼ばれるピンク・フロイドの前衛的な音楽を、究極の音響システムで聴く。宇宙の静寂のようなかすかな音から、爆発的な大音量まで、コンサート会場で生で聴いているような臨場感。

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 レトロな建築様式の回廊で囲まれた中庭は、彼らの音楽にぴったり!(身びいきですかね) 奈良や京都の社寺を使った音楽イベントに負けていません。こんなステキなスペースの使用を許可してくれた税関に感謝です。

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 1967年の「Astronomy Domine 」から2014年の「Louder Than Words 」まで19曲が、イメージに合わせたさまざまな色のライトアップやプロジェクションマッピングで展開される。もちろん歴史的な名アルバム『狂気』や『アニマルズ』からも選曲。音と光が生み出す空間アート。

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 新聞報道によれば観客は約1,400人。みなさん自分の世界に浸っていました。荘厳で哲学的、これぞピンク・フロイドの楽しみ方。素晴らしい企画を実現した実行委員会や関係者の皆さまにお礼を申し上げます。ありがとうございました。
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 なお4月27日(土)~29日(月)に未来を体感する『078 』というイベントも開催されるそうです。これも同じ人たちがかかわるプロジェクトの一環。IT、音楽、映画、ファッションなど、さまざまな実験的なプログラムが神戸の数カ所で繰り広げられる。市外局番「078 」を冠したこのイベントも楽しみです。

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2019年3月17日 (日)

魔性の女か、自由な女か。

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 世界有数の人気オペラ『カルメン』。2月2日に上演された舞台を、METライブビューイング版で観ました。1845年に発表されたメリメの小説を原作に、ジョルジュ・ビゼーが作曲し、1875年に初演された全4幕のフランス語オペラ。クレモンティーヌ・マルゲーヌ(メゾソプラノ)とロベルト・アラーニャ(テノール)が素晴らしい。

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 序曲が始まってたちまちカルメンの世界に引き込まれる。19世紀スペインのセヴィリヤを舞台にした物語です。自由奔放に生きる女と、運命を狂わせる勤勉な兵士。音楽もフルートやピッコロ、オーボエなどをうまく使い、ジプシーの音楽やスペインの舞曲でエキゾチシズム満載です。ルイ・ラングレの指揮もいい。

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 第一幕と第三幕の冒頭に躍られるバレエの使い方に感心しました。赤を背景にした運命の出会い。

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 青を背景にした避けられない死。それぞれのバレエは、これから始まる物語を暗示するイメージを提示している。

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 リチャード・エアは群衆シーンでも見事な演出を見せる。三重のターンテーブルを駆使したダイナミックなシーンは圧巻だ。伝統や社会常識に縛られない自由に生きる強い女、カルメンの強烈な個性を際立たせる。魔性の女か?自由な女か? ご覧になって判断をしてください。

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