2017年9月19日 (火)

感動!ロイヤルオペラの「オテロ」

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 英国ロイヤルオペラハウスの2016-2017シーズン最後を飾る、6月28日に演じられた全4幕物のオペラ『オテロ』の中継映画。文句なしにすばらしかったです。ウイリアム・シェイクスピアの原作を、ジュゼッペ・ヴェルディがオペラ化。文学の巨匠と音楽の巨匠、時代は違うけれどこの二人が創り上げた作品がおもしろくないはずはない。息をするのも忘れるほどの緊張感で最後までぐいぐい引っ張られました。終わってやっとフウッと息を継ぐ。

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 小さな疑念が嫉妬となり、コントロールできない大きな怒りに膨れ上がる。そしてその怒りは自分自身をむしばみ壊し、まわりの人々を傷つけ、すべてを滅ぼしてしまう。この心理劇を見事な歌唱力と演技力で表現したオテロ役のヨナス・カウフマンが見事です。愛の深さと信じてもらえない哀しみを体現したデスデモナ役マリア・アグレスタ。まるで悪魔の申し子のような邪悪なイアーゴを怪演したマルコ・ヴラトーニャ。ヴェルディが当初このオペラのタイトルを「イアーゴ」にしようと思っていたほどの、影の主役です。感動的な歴史に残る名舞台でした。

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 シェイクスピアの作品はイタリアを舞台にしたものが多い。「ヴェニスの商人」や「ロミオとジュリエット」、そしてこの「オセロ Othello」。『オテロ Otello』の舞台はヴェネツィア共和国領だったころのキプロス。でも彼は生涯にイタリアを旅したことはなかったとも言われている。行ったか行かなかったかはどちらでもいいけれど、イタリア関連の文献をよく研究していたのは間違いないだろう。

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 音楽監督・指揮者のアントニオ・パッパーノと演出のキース・ウォーナーも大きな貢献をしている。そして幕間のインタビューでも触れられていたが、合唱団の力量も抜きんでていた。美術もコスチュームも含めて、オペラというのは本当に多くの才能が結集してはじめていい作品に結実するのだ、と実感しました。
 ロイヤルオペラハウスの中継映画シリーズ。また次の2017-2018シーズンに期待です。さらにはロンドン コヴェントガーデンまで観に行ける日を楽しみに。

英国ロイヤルオペラハウス シネマシーズン

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2017年9月16日 (土)

奈川のソバが育っています

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 7月末に種まきをした秋ソバが順調に育っています。種をまいてわずか4日後には芽を出したソバ。Photo_5 それがいま満開の花盛り。ソバはもともとやせた土地にできる救荒作物。生命力が強い植物だ。米がとれない奈川では、昔から村のあちこちでソバが植えられていた。1200mから1300mと標高が高く冷涼な気候の奈川のソバ『奈川在来種』は、日本一おいしいと言われている。(TV番組「秘密のケンミンSHOW」?で、そう紹介された) 収穫量が少なく、手に入りにくい幻のソバ。小粒だけれど、香り高く味が濃い。

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 その奈川の在来種を、1区画借りた畑で育てている、というわけ。あぜ道には白とピンクのゲンノショウコがいっぱい咲いている。ススキも穂を輝かせている。畑からの眺望がまた特別すばらしい。正面に乗鞍岳、右手に西穂高岳、ジャンダルム、奥穂高岳、前穂高岳と並ぶ。高原の澄んだきれいな空気を吸い、こんな絶景を見て育ったらおいしくないはずはない。と、確信しております、はい。

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 このブログで7月19日の「ソバの花と栗の花」という話を書きましたが、7月に咲いていたのは夏ソバ。そこでもふれているソバの花のニオイ。どこに養鶏場があるのだろう?と、まわりをきょろきょろ探すぐらい、そこら中がまさに鶏ふんをまき散らしているかのよう。おいしい味覚をもたらす美しい白い花が、こんなに臭いニオイをまき散らしてるなんて。意外でしょ。でもこのニオイに誘われて集まったハチやチョウ。蜜を吸いながら、知らないうちに受粉に利用されている。人間にとって不快なニオイも、子孫を残すためのしたたかな戦略だと聞きました。

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 さて収穫は霜が降りる前の10月下旬の予定。種まきから3ヶ月足らず、成長が早いです。そして脱穀して、粉にひいて、蕎麦を打って(ただしすべてプロに助けてもらいながらですが・・・)、しみじみ味わう。サイコーでしょうね、きっと。いまから楽しみにして待っています。ただし、その時期に遅めの台風が来なければいいのですが。祈るしかありません。

 

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2017年9月13日 (水)

建築の面から見た ラ コリーナ

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 ラ コリーナ近江八幡の緑あふれる建物群を設計した建築家・建築史家の藤森照信さん。屋根にいっぱいタンポポが植えられた自邸のタンポポハウス。ニラが植えられた赤瀬川原平さんの家。浜松の秋野不矩美術館。多治見モザイクタイルミュージアム。そして高い木の上にある高過庵など想像を絶する茶室建築の数々で知られている、世界の誰とも似ていない稀有の建築家です。

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 メインショップの屋根は芝生が植えられ松の木まで生えている。自然のまま(不揃い)の栗の木の柱列。壁は土壁。床は石。自然素材を使ったまるで縄文時代のような、あるいはアフリカの少数部族の住居のような、また逆に何千年も未来の建築物のような不思議さ。見たことのない体験なのだが、とても懐かしい。世界にやさしく包まれる感覚。

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 内部も漆喰に炭片がいっぱい貼り付けてある天井や、均一の平面じゃない昔風の窓ガラスなど、随所にこだわりが見られる。カフェのテーブルやイスもごつごつした削り跡を残した栗材と鉄でできている。そして中央の大きなテーブルには、なんと緑の寄せ植えまで。癒しを通り越して、楽しいファンタジーの世界。

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 田んぼを囲むようにめぐらされた回廊。田んぼの中に設置された小人の住居のようなオブジェ。ドアがあり窓があり、そして屋根に松が植えられている。銅板で葺かれた本社の大きい建物。もともと生えていた大木は屋根を突き抜けている。それら人工の建造物が田んぼや段々畑や植木を育てる農園と違和感なくつながって、美しい夢の景観を形作っているのが素晴らしい。

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 エコロジーやサステナビリティ、環境や自然保護というと、理念ばかり先行して味気ないものになりがちだ。でもここラ コリーナには遊び心がいっぱいで、見学や買い物に来た人はもちろん働く人もみんなイキイキしていて気分がいい。とても中身が充実した野外芸術祭で、アートやイベントを存分に楽しんだような満足感を得られました。クライアントの熱意と建築家のアイデアに脱帽です。

ラ コリーナ 近江八幡
滋賀県近江八幡市北ノ庄町615-1

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