2017年3月27日 (月)

ヨーヨー・マと仲間たち

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 現代最高のチェロ奏者のひとり、ヨーヨー・マ(馬 友友)は1955年パリ生まれニューヨーク育ちの中国系アメリカ人です。このドキュメンタリーは、ヨーヨー・マを中心に結成された革新的な国際的音楽家集団シルクロード・アンサンブルの活動を記録したもの。「ヨーヨー・マと旅するシルクロード」。原題は「The Music of Strangers」。

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 チェロやヴァイオリンやクラリネットやバンジョーなどの楽器に加え、アラビアのウード、中国琵琶(ピパ)、ペルシャのケマンチェ、スペインのバグパイプ、日本の尺八など西洋音楽とは違う異文化の伝統楽器を演奏する才能あふれる音楽家たちが参加している。彼らのルーツもイラン、中国、シリア、アゼルバイジャン、スペインのガリシア地方など多彩。戦争、弾圧、自由の欠如。故郷では演奏活動が困難な人たちもいる。そんなメンバーがそれぞれのアイデンティティを見つめ、普遍的な音楽の喜びを創り上げていく。

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 古代から東西文明が交差し、ヒトが、モノが、文化が行きかったシルクロード。いまヨーヨー・マとシルクロード・アンサンブルが目指しているのは、国境を超越し、政治体制や宗教を凌駕する、新しい普遍的な音楽文化の創造と進化。そしてこの文化力こそが平和で豊かな未来を開くと信じているからだ。歓びのハーモニーを求めて旅する『異邦人たち』。文化の多様性とお互いの歴史的政治的背景を認め合って、究極の音世界を共に生み出していく。まだ将来に希望を抱いてもいいのだ、と思わせてくれる。

 

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2017年3月24日 (金)

メイプルソープ、静かな挑発

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 美術としての写真を考えるとき、もっとも重要なアーティストはロバート・メイプルソープでしょう。1946年生まれ、1989年AIDSにより死亡。40歳代前半に亡くなった当時、エッまだ若いやろ!という驚きと、やっぱりね!というあきらめが同時に気持ちの中にわいてきたものだ。妖しく、美しく、かの時代に咲い大輪の才能。いま銀座のシャネル・ネクサス・ホールで「Memento Mori ロバート・メイプルソープ写真展」が開催されているので行ってきました。

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 彼がたくさん残した素晴らしい肖像写真。生と死。男性と女性と性的マイノリティ。フィルムに定着させる被写体の個性(特にゲイの男性)は、本人よりはるかに鮮明に現れていると思う。70年代から80年代、スキャンダラスな社会問題となりながら進行していた「性の革命」。メイプルソープはそのシンボル的な作家のひとりでした。LGBTのデモやお祭り的集会が日本でも開かれるなんて、まったく思いもしなかった。時代の変わりようは予想よりはるかに速くドラスティックだ。

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 ハッとさせるモチーフのとらえかた、古典的ともいえる構図の見事さ。ゼラチンシルバープリントの超絶美しさ、モノクロームの深い表現力。20世紀後半の芸術シーンに大きな影響を与えたメイプルソープの作品が、まとめて91点も鑑賞できるいいチャンスです。花で、肉体で、著名人の肖像で、私たちを静かに挑発する作品の数々。写真が記録から美術になったこと、そして彼以後写真が変わったことを、ぜひご覧ください。

Memento Mori
ロバート メイプルソープ写真展 ピーター マリーノ コレクション

シャネル・ネクサス・ホール
2017年3月14日(火)~4月9日(日)
12:00-20:00 無休

 

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2017年3月21日 (火)

草間彌生の凄さは何だろう?

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 草間彌生はアーティスト人生としては、もう最終章に入っていてもおかしくないと思う。でもでも、年齢を感じさせるどころか、ますます若々しく過激にエネルギッシュになっている。北斎もマティスも優れた芸術家はみんなそうだが、老いてますます盛ん。年とともに枯れるどころか死ぬまで現役。どんどん自由にパワフルになってくるのは興味深い。たぶん芸術家はいつまでも、「これは面白い」、「もっとこんな作品を創りたい」と好奇心と野心にあふれているのでしょう。

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 展覧会の会場は、そんな作家の情熱を感じてか熱気にあふれている。しかも若い人たちがとても多い。少女時代からの水玉や網目の強迫観念に追われて制作していた頃の作品より、もっともっと自分自身に正直になっていると感じる。だからものすごいスピードで真のアートを量産しているのだ。それってスゴイことだと思いませんか。われわれ凡人でも年齢とともにエネルギーが落ちてくるのに、はるかに精神集中と緊張を強いられるアート制作にエネルギッシュに取り組んでいる。

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 それが天才としか言いようがない草間彌生たる所以。フィレンツェのヴァザーリの回廊に展示してあった自画像の迫力たるや、西洋のそうそうたる巨匠の自画像を圧倒しておりました。この人の場合、いま自分が表現したい世界と世間の人々の意識がぴったりマッチしたサイコーの時を迎えているのでしょう。時代との幸せなマリアージュ。
 ミュージアムショップの売れ行きがこんなにすごいアーティストはかつていなかったんじゃないか。それにこんなにグッズにしやすい作家も。日本の宝ですね。

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草間彌生 わが永遠の魂
国立新美術館
2017年2月22日(水)~5月22日(月)

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