2020年8月 2日 (日)

ダー子が食われた?

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 映画の二作目は『コンフィデンスマンJP.プリンセス編』。ダー子(長澤まさみ)、ボクちゃん(東出昌大)、リチャード(小日向文世)の三人組が絶好調です。コロナで気分が晴れないときは、騙し合いゲーム! えっ何が本当で、どれが嘘? 形成は二転三転、四転五転、七転八倒のおもしろさで、日本中が梅雨明けダー!

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 シンガポールの大富豪が残した資産10兆円をターゲットに、欲望と悪知恵が絡み合う。北大路欣也、ビビアン・スー、竹内結子、広末涼子、濱田岳、滝藤賢一などなど、豪華なキャストがずらーり。デヴィ夫人まで出てきたのには笑えます。マレーシアのランカウイ島、トロピカルリゾートでのセレブなパーティにはピッタリでした。

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 ヤクザのボス赤星(江口洋介)や天才恋愛詐欺師のジェシー(三浦春馬)。おなじみ敵役の主要メンバーもサイコーです。でも、もうこれでジェシーが見られなくなると思うと、とても悲しい。替えの利かない三浦さんだから。執事の柴田恭兵も感情をいっさい表に出さず、心温まる解決策に導く。これはトクな役どころですね。

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 プリンセスに仕立て上げられたコックリ役の関水渚が、ピュアで素直ですごく良かった。ダー子が食われるほどの存在感。しかし予想外の結末まで貫く「本物も偽物もない。信じればそれが真実」というダー子の言葉は深い。やはりこれはコメディエンヌ長澤まさみの魅力全開映画です。笑いたっぷり、感動じわっと。エンディングに流れるOfficial髭男dismの「Laughter」も素晴らしい。

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2020年7月30日 (木)

90歳の運び屋がいた?

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 クリント・イーストウッド監督が『グラン・トリノ』以来10年ぶりに主人公を演じた『運び屋』(2018年)は、期待にたがわず面白い。メキシコの麻薬組織にスカウトされ、大量のコカインを運ぶことになった老人。実際にあった事件を基にしたクライム・ムービーです。だけど暗くはないし、残虐でもない。残るのは爽快感と正義感。

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 90歳の老人が危険な運び屋に? 運転するな!さっさと免許を返納しろ!と言われる日本とは大違い。しかも危険な麻薬組織と渡り合い、警察の眼をかいくぐって1,000km以上の長距離ドライブ。事情を知らないし、知りたくもない。だから緊張もしない。鼻歌を歌いながら目的地へ向かって淡々と運転するのみ。

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 外面はいいものの、家族をないがしろにして仕事一筋で生きてきた男。(日本の爺さんたちはもっとひどいかも?) 第二次世界大戦の退役軍人でユリの栽培で成功するが、その後没落。時代に取り残され、家族に見放されても、日々の生活を楽しみ飄々と生きている。この爺さんは犯罪者だけど、ユーモアもあるしカッコいい。 

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 元妻や娘との絆を取り戻そうと努力するが、認めてもらえない。実の娘アリソン・イーストウッドが父を憎む娘役を演じているのも面白い。実生活を彷彿とさせるキャスティングに、いろいろあった自身の人生を客観視する余裕を感じます。時間は戻せないし、肩の力を抜いて生きていく決意。彼は人生を達観しているのでしょうか。

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 イーストウッドが演じてきた人物は、みんなカッコいい。ガンマンも、刑事も、ボクシングのトレーナーも・・・。しかし順調に人生を歩んできた苦労知らずは一人もいない。翳のある無名のダーティヒーロー。寡黙で頑固で不器用で、苦悩や悲しみを内に秘めた信念の人。そのキャラが年を経るごとに渋くなる。そんなカッコ良さです。 

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2020年7月27日 (月)

美しい花には魔力が潜む

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 出だしから尺八の旋律が響き不穏な雰囲気に。怖~い映画です。オーストリア・イギリス・ドイツの合作で『リトル・ジョー Little Joe』で、監督はジェシカ・ハウスナー。人が幸せになる香りを放つ新種の植物「リトル・ジョー」を開発した研究者が主人公です。演じたエミリー・ビーチャムがカンヌで主演女優賞に輝きました。

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 舞台はロンドン、遺伝子工学を駆使して新種の植物を創り出す最先端の研究所。クリーンルームの作業、さまざまな検査装置。コロナの病棟を連想します。そこでは「人を幸せにする」妖しい深紅の花が、完成間近になっている。研究室内の基調色は淡いグリーン。アルヴァ・アアルトのサナトリウムのような清潔で気持ちを穏やかにする色です。そこに対照的な真っ赤な花。色彩設計が見事です。

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 この映画では、目黒の panenka(パネンカ)さんのコスチュームが使われている。それを聞いていたので、公開されたらぜひ観ようと思っていました。使われているどころか、半分ぐらいのシーンで出てくるじゃないですか。白衣ならぬ、緑衣(?)。淡いパステル調の色、大きめのボタン。さすが panenka さんのファッションです。

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 「人を幸せにする花」は人類をウツから解放するかもしれない。こんな成果に期待していたとき、ふとした疑念が浮かびだす。ウイルスか何か、この花が出す成分が人を惑わし静かに精神を侵食していくのではないだろうか? 人類はこの花に支配される? 疑心暗鬼が連鎖する異色の植物ホラーの様相を呈してくる。

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 この花の香りをかいだ人々が変わっていく。息子も、同僚も、友人も。いや、周囲の人が変わったのではなく、自分自身が変わったのか。静かに進行する心理サスペンス。遺伝子工学の裏に潜む恐怖や、生命の問題と洗脳や集団心理の危うさを描いて極めて現代的。劇的なシーンはないけれど、じわじわと怖さが増幅しますよ。なお和楽器をフィーチャーした音楽は故・伊藤貞司の楽曲でした。

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